最終更新日:2018/04/14
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概要
対象年度 年度 2018 (週1コマ)春期 開講時限 金5
開講学部・学科等 アジア
科目コード 610019200 科目ナンバー ASB02533
授業名 アジアと金融
英文授業名 Finance and Asia
担当教員 矢口 満

授業形態 講義
e-learning利用 その他:
担当形態 単独
関連する授業
当科目履修前に履修して
おくことが望ましい科目
後続関連授業
教職課程科目 教科に関する科目
テーマ・キーワード 国際金融、外国為替、国際収支、アジア通貨危機、人民元、仮想通貨

授業の概要・ねらい  アジアでのビジネスを志す以上、実践的な国際金融の知識の修得は必須である。本授業では、まず、国際金融論の基礎知識を習得してもらった上で、アジアにおける過去最大の金融関連の事件であった「アジア通貨危機」(1997年)について、その背景、および再発防止に向けた地域金融協力の枠組みについて説明する。
 さらに、アジアにおける最近の金融関連の重要テーマ(日本の金融市場との一体化、中国の通貨である人民元の国際化、仮想通貨やFinTech(フィンテック)の現状、等)についても、それぞれの専門家による講義を行う。
(担当教員は登録上は矢口のみであるが、実際の授業は、公益財団法人国際通貨研究所の複数の役職員により実施する。)
到達目標 1)国際金融論の基礎知識を習得している。
2)アジア通貨危機と、その再発防止に向けた地域金融協力の枠組みについて理解している。
3)アジアにおける最近の金融関連の重要テーマについて概要を説明できる。
教科書と準備するもの  教科書は以下の(A)と(B)の2冊を用いる。
(A) 秦忠夫・本田敬吉・西村陽造 『国際金融のしくみ(第4版)』有斐閣アルマ 2012年
(B) 国際通貨研究所編 『外国為替の知識(第4版)』日本経済新聞出版社 2018年(3月発売)
 さらに、必要に応じて講義時にプリント教材を配布する。
参考書  財務省財務総合政策研究所『フィナンシャル・レビュー(特集:アジアの金融市場の発展と統合)』平成30年第1号(通巻第133号)、2018年3月。(同研究所ホームページ(http://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list7/fr133.htm)からダウンロード可能。)
評価の基準 1)国際金融論の基礎知識(外国為替、国際収支、国際通貨制度)を習得している。
2)アジア通貨危機の背景と、その再発防止に向けた地域金融協力の枠組み(CMIM, AMRO, ABMI)について理解している。
3)アジアにおける最近の金融関連の重要テーマ(日本との金融市場統合、人民元の国際化、FinTechなど)について概要を説明できる。
 以上の3点を基準として、それぞれの到達度を評価する。
具体的評価方法  「評価の基準」の各項目について、定期試験(100%)で評価する。定期試験は、最終回の授業において、まとめ講義に続いて実施する。
関連リンク 《講師所属先》公益財団法人国際通貨研究所ホームページ,《参考書》財務総合政策研究所「フィナンシャル・レビュー」第133号
授業評価アンケート
フィードバック・
受講生へメッセージ
≪新規担当にあたっての抱負≫
 今年度より、公益財団法人国際通貨研究所の複数の役職員による授業として行う。折にふれて講師の実務経験を織り交ぜながら、アジアにおけるビジネス展開の基礎知識として、実践的な国際金融論を修得できるよう、工夫された講義としたい。
単位互換
特記

授業計画
第1回 内容
<ガイダンス>
 本科目の到達目標、評価の基準、シラバスの利用方法、授業の進め方(教科書(A)(B)の使い方など)、について説明する。
 さらに授業全体のアウトラインを提示し、「国際金融」の初歩的な概念を説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)シラバスを読んで授業全体の構成を把握するとともに、教科書(A)(B)のはしがき(まえがき)と目次に目を通しておく。
(復習)シラバスと教科書をもとに、疑問点を整理し、理解を深める。
授業実施特記
第2回 内容
<外国為替の仕組みと形態>
 ①外国為替の仕組み、②外国為替の形態、③外国為替相場とその表示方法、および④直物相場と先物相場、について説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)教科書(A)第1章第1~2節および第2章第1~2節を読み、疑問点をメモしておく。
(復習)教科書および配布プリントをもとに、疑問点を整理し、理解を深める。
授業実施特記
第3回 内容
<外国為替相場>
 ①銀行間相場と対顧客相場、②外国為替市場の構成、および②銀行間市場、について説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)教科書(A)第2章第3節、第3章第1~2節を読み、疑問点をメモしておく。
(復習)教科書および配布プリントをもとに、疑問点を整理し、理解を深める。
授業実施特記
第4回 内容
<外国為替市場>
 ①中央銀行の市場介入、②世界の主要為替市場、および③個別取引にかかわる為替リスクヘッジ、について説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)教科書(A)第3章第3~4節、第4章第1節を読み、疑問点をメモしておく。
(復習)教科書および配布プリントをもとに、疑問点を整理し、理解を深める。
授業実施特記
第5回 内容
<外国為替と「経済制裁」>
 外国為替におけるドル決済の仕組みに、改めて焦点をあてる。
 国際政治上、米国が敵対国に対して「経済制裁」を行う場合、このドル決済の仕組みを応用していることを説明する。外国為替の重要性について深く理解することを目的とする。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)第2回~第4回の授業の内容を復習する。(第5回の授業は、これらの内容の応用編である。)
(復習)配布プリントをもとに、疑問点を整理し、理解を深める。
授業実施特記
第6回 内容
<国際収支と外国為替>
 ①国際収支統計の見方、および②日本の国際収支(経常収支)の変化、について説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)教科書(B)第5章第1,3節を読み、疑問点をメモしておく。(教科書(A)第5章は記載内容が一部古い点に注意すること。)
(復習)教科書および配布プリントをもとに、疑問点を整理し、理解を深める。
授業実施特記
第7回 内容
<国際通貨制度(1) 仕組みと変遷>
 ①戦後の固定相場制(ブレトン・ウッズ体制)、②変動相場制への移行、および③「国際金融のトリレンマ」、について説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)教科書(B)第6章第1~3節を読み、疑問点をメモしておく。
(復習)教科書および配布プリントをもとに、疑問点を整理し、理解を深める。
授業実施特記
第8回 内容
<国際通貨制度(2) アジア通貨危機と再発防止策>
 ①アジア通貨危機の背景、および②その再発防止に向けた地域金融協力の枠組み(CMIM, AMRO, ABMI)、について説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)教科書(A)「Column⑫アジア通貨危機」および第12章第4節、ならびに教科書(B)第6章第4節および第7節を読み、疑問点をメモしておく。
(復習)教科書および配布プリントをもとに、疑問点を整理し、理解を深める。
授業実施特記
第9回 内容
<国際通貨制度(3)アジア債券市場の育成>
 アジアの地域金融協力のうち、ABMI(アジア債券市場育成イニシアティブ)について、その現状を説明する。特に、相対的に金融市場の発展の遅れているカンボジア、ミャンマー、ラオスに焦点を当てる。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)第6回~第8回の授業の内容を復習する。(第9回の授業は、これらの内容の応用編である。)
(復習)配布プリントをもとに、疑問点を整理し、理解を深める。
授業実施特記
第10回 内容
<日本とアジアの金融市場統合(1)>
 ①邦銀のアジア展開の経緯(日本の成長と日系企業のアジア進出サポートの展開、アジアの成長と非日系企業への金融サービスの展開)、および②アジアの所得向上と邦銀の地場顧客層の広がり、について説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習) 参考書内に所蔵の論文「日本とアジアの金融市場統合 -邦銀の進出に伴うアジアの金融の深化について-」の第Ⅰ章~第Ⅲ章第1節を読み、疑問点をメモしておく。
(復習)上記論文および配布プリントをもとに、疑問点を整理し、理解を深める。
授業実施特記
第11回 内容
<日本とアジアの金融市場統合(2)>
 邦銀の買収・提携戦略とアジア金融の発展について説明する。具体的には、①ASEANにおける金融サービスに対するニーズの変化、②買収先・提携先への金融技術の波及、などを取り扱う。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)参考書内に所蔵の論文「日本とアジアの金融市場統合 -邦銀の進出に伴うアジアの金融の深化について-」の第Ⅲ章第2節~第Ⅳ章を読み、疑問点をメモしておく。
(復習)上記論文および配布プリントをもとに、疑問点を整理し、理解を深める。
授業実施特記
第12回 内容
<中国経済の台頭と人民元の国際化>
 ①中国の高度経済成長と2005年の為替改革、②世界金融危機をきっかけとした人民元の国際化の開始、および③人民元の国際化の諸施策とその進捗状況、について説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)教科書(B)第6章第8節を読み、疑問点をメモしておく。
(復習)教科書および配布プリントをもとに、疑問点を整理し、理解を深める。
授業実施特記
第13回 内容
<メガバンクのアジアビジネスを通して見たアジア金融の実態>
 本邦の大手金融機関における国際金融業務、特にアジア地域でのビジネスの経験を踏まえて、アジアにおける金融・経済の実態について説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)第10回~第12回の授業の内容を復習する。(第13回の授業は、これらの内容の応用編である。)
(復習)配布プリントをもとに、疑問点を整理し、理解を深める。
授業実施特記
第14回 内容
<仮想通貨、アジアにおけるFinTech(フィンテック)>
 ビットコインを中心に仮想通貨の歴史やメリット・デメリットなどについて説明する。さらに、アジア地域におけるFinTech(フィンテック)、すなわち情報通信技術を用いた革新的な金融サービスの潮流について触れる。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)教科書(B)第7章を読み、疑問点をメモしておく。
(復習)教科書および配布プリントをもとに、疑問点を整理し、理解を深める。
授業実施特記
第15回 内容
<まとめ講義、定期試験の実施>
 まとめ講義を行った後、客観問題と論述問題を組み合わせた試験を行う。試験範囲とそのポイントは、上記「評価の基準」に示したとおりである。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)教科書および配布プリントに基づき、シラバスに沿って授業全体を再把握する。
(復習)教科書および配布プリントをもとに、定期試験の復習を行う。
授業実施特記