最終更新日:2018/01/31
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概要
対象年度 年度 2018 (週1コマ)秋期 開講時限 火2
開講学部・学科等 理工
科目コード 645002600 科目ナンバー SEM03790
授業名 計測工学
英文授業名 Instrumentation Technology
担当教員 奥津 良之

授業形態 講義
e-learning利用 その他:
担当形態 単独
関連する授業
当科目履修前に履修して
おくことが望ましい科目
後続関連授業
教職課程科目
テーマ・キーワード 計測、機械、電気、物理

授業の概要・ねらい  「計測」はあらゆる理学・工学・技術の基本である。計測なくしてあらゆる理論の「実証」はあり得ない。誤った「計測」そして、その結果の誤った「計測値」をもとには万事のプロセスは、設計者の意図するように「正しく」は進まない。     
 ここでは社会や産業界を広く見渡し、各分野で使われている「計測」事例を、その原理や物理を踏まえ、体系的に、わかりやすく解説してゆく。「計測」事例として現場での「失敗事例」も含め、理工学系学生諸君に幅広く、かつ、できるだけ深い知見を伝授したい。

  講義では有効数字・計測器精度・誤差・量と単位・次元解析などの基本的了解事項を6週目までに解説する。続く11週目までに圧力・温度・流速・流量・液位など状態量の各計測器原理を解説する。その後の週では視点を産業界現場に移し、計測器製品例・計測事例・失敗事例・国際規格と各国の技術水準、将来の「計測」課題などに言及したい。
到達目標 「計測」工学において、測定器精度や誤差など基本的了解事項と各種計測原理について
 正しく理解していること。   
「計測」対象に出会ったときには、適する「計測製品」の選択範囲を絞る手順を
 理解していること。
教科書と準備するもの 教科書はプリントを配布する予定。
参考書 参考書は講義の中で随時紹介するが、良書として

計測工学 第3版(土屋喜一、他)、オーム社、2000年(5刷)、3000円
ISBN-274-13196-3

日本機械学会編 機械工学便覧 (該当の編、版、価格などはガイダンス時に紹介する)

を推薦しておく。
評価の基準 圧力・温度・流量・液位・長さ等の計測原理を理解していること。
具体的評価方法 レポート 40%  (6週目と11週目を目安に2回あります。)
試験   60%  (年度末に1回実施します)
授業評価アンケート
フィードバック・
受講生へメッセージ
本年度(2018年)からの担当講師であり、これまでに授業評価アンケートの実績はない。
単位互換
特記

授業計画
第1回 内容
ガイダンス「計測工学の重要性」
  科学や工学そして技術・産業界においては「計測」なくして発展はなかった。
  「計測工学」はこれら計測に関する諸知見を集大成し体系化した工学である。
  計測の歴史や役割、効果、課題、期待など説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) ガイダンス内容を復習し、次回講義について予習する。
授業実施特記
第2回 内容
計測の基礎「有効数字」
  有効数字は、英語ではSignificant Figures という。
  計測値について、位取りだけのためだけに書かれている「0」や
  誤差を含むため信頼できない数字を除外した、  残りの数字列を指す。
  有効数字についての加法(+)・減法(-)・乗法(×)・除法(÷)を習得する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 「有効数字」について復習し、次回講義について予習する。
授業実施特記
第3回 内容
計測の基礎「測定器の精度の考え方」
  測定器の最小目盛(感度)と測定値との関係から、測定器の精度の考え方を
  説明する。測定レンジ選定の誤りが測定上致命的な結果に至ることを理解し、
  正しい測定マナーを習得する。なお測定対象基本量として「長さ」を例にとる。
授業時間外における学修(予習・復習等) 「測定器精度」について復習し、次回講義を予習する。
授業実施特記
第4回 内容
計測の基礎「誤差」
  前週までに獲得した測定精度に関する知見を、「誤差」との視点で再確認する。
  理論値あるいは精密値と実際の測定値の間で「相対誤差」を計算し、私たちが
  実施した計測行為例が妥当であったかどうか判断する。そうでない場合、
  考えられる要因を再検討し学習する必要がある。
  
授業時間外における学修(予習・復習等) 誤差・精度・有効数字について復習し、次週講義を予習する。
授業実施特記
第5回 内容
計測の基礎「量と単位」
  物理量についての体系を示し、単位の説明を行う。SI(国際単位系)に従う。
  基本量とできるだけ多くの各種誘導量について理解する。
授業時間外における学修(予習・復習等) SIについて復習し、次週講義を予習する。
授業実施特記
第6回 内容
計測の基礎「次元解析」
  いくつかの物理法則を例にとり、前週までに修得した「量と単位」を
  「次元解析」の視点から再確認する。 また事例を参考に、X-Y座標
  (リニア、両対数)の勾配から 物理法則を理解する。
  
授業時間外における学修(予習・復習等) 量、単位、次元解析について復習し、次週講義を予習する。
授業実施特記
第7回 内容
計測原理(圧力の測定)
  運動方程式にあらわれる圧力(Pressure)は極めて重要な測定対象である。
  その計測原理はマノメータやブルドン管などの機械的計測方式や、
  半導体ゲージや圧電(ピエゾ)素子の出力を電気変換し計測値とする方式
  など多様である。各種圧力計測方式の原理・特長・欠点その他を説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 圧力計測原理について復習し、次週講義を予習する。
授業実施特記
第8回 内容
計測原理(温度の計測)
  ガスおよび液体における温度(Temperature)の計測原理について説明する。
  アルコール温度計、熱電対(ゼーベック起電力)温度計から赤外線温度
  センサなど多様な温度計測方式について原理・特長・欠点その他を説明する。
  
授業時間外における学修(予習・復習等) 温度計測原理について復習し、次週講義を予習する。
授業実施特記
第9回 内容
計測原理(流速の計測)
  運動方程式にあらわれる速度(Velocity)は極めて重要な測定対象である。
  その計測原理は絞り機構、ピトー管方式、熱式センサ方式あるいは
  レーザドップラー方式などきわめて多様である。
  多様な速度計測方式について原理・特長・欠点その他を説明する
授業時間外における学修(予習・復習等) 流速測定原理について復習し、次週講義を予習する。
授業実施特記
第10回 内容
計測原理(流量の計測)
  すでに述べた圧力・温度・流速の計測値を組み合わせて、時間平均値である
  流量が求められる。流量計としての原理を解説する。
  多様な流量測定方式について原理・特長・欠点その他を説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 流量測定原理について復習し、次週講義を予習する。
授業実施特記
第11回 内容
計測原理(その他物理量の測定)
  物理量は広範におよぶ。音響波・電磁波・放射線・医療・ニュートリノ・
  スポーツ計測など、その時々に社会話題となった物理量の計測原理について
  2~3例を取り上げ 解説する。
  
授業時間外における学修(予習・復習等) 社会で話題となった物理現象ないし物理量の計測について敏感となって、
科学技術に対し問題意識を持つ。講義の復習および次週講義の予習
授業実施特記
第12回 内容
産業界における計測事例「国内・国際市場の技術水準」
  特徴的な計測事例・製品例・失敗事例・改善例などを国内外に求め、紹介する。
  工業プロセスコンビナートでの実際の使用事例・応用事例が話題の中心となる。
授業時間外における学修(予習・復習等) 産業界における計測事例の知見を復習する。および次週講義の予習をする。
授業実施特記
第13回 内容
産業界における計測事例「国際電気標準会議IECの技術水準と各国の趨勢」
  計測器についての国際標準機関は1906年創立のIEC:International
   Electrotechnical Commission である。 この組織が発行する
  国際規格がWTO:World Trade Organization 加盟国(約120カ国)
  の計測器仕様を規定している。この技術水準と各国の趨勢につき説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 国際規格IECについての概要を復習し理解する。および次週講義の予習をする。



授業実施特記
第14回 内容
産業界における計測事例「計測工学の課題」
  これまで説明してきた計測工学の分野には、実は「理論」がない。課題に
応じて次から次に計測手法を ”開発” してきた結果の体系であり、
寄せ集めの集大成であった。本質を掴む ”理論” が見い出されていれば、
  もっと効率的に、広範囲に教育・伝承できたはずである。   しかし、 
  残念ながら計測工学には全体の本質を掴むような ”理論” が未成熟であり
  同じ位の年数と経験を積んでいただかないと、計測工学の技術伝承は難しい。
  いつの日か計測の ”理論” が確立され、もっと効率的に技術伝承ができる
  日が来るであろう。その日を期待しながら計測工学における諸課題を述べる。
授業時間外における学修(予習・復習等) 計測工学上の諸課題を整理し、復習する。次週講義の予習をする。
授業実施特記
第15回 内容
産業界における計測事例「まとめ」
  これまでに述べてきた知見のまとめを行う。
  今後諸君らが技術者・研究者として計測対象に向かう際、各種計測製品の選定も
  行うであろう。選定の着眼点・業界常識(保証期間、校正方法その他)も併せて
  お話します。
  
授業時間外における学修(予習・復習等) 計測工学総括内容を復習すること。
授業実施特記