最終更新日:2018/01/04
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概要
対象年度 年度 2018 (週1コマ)秋期 開講時限 月3
開講学部・学科等
科目コード 661064400 科目ナンバー LWL03203
授業名 国際法B
英文授業名 International Law B
担当教員 横山 真規雄

授業形態 講義
e-learning利用 その他:
担当形態 単独
関連する授業
当科目履修前に履修して
おくことが望ましい科目
国際法A(授業内容からして、国際法Bからの履修は避けるように願いたい)歴史関連科目
後続関連授業 国際私法
教職課程科目 教職に関する科目
テーマ・キーワード 国際人としての法学的教養の醸成

授業の概要・ねらい 本講義は、現代国際社会(国際コミュニティ)を規律する様々な法規範について、歴史的視点にも配慮しながら検討する。現代の国際社会は、複雑で多様な様相を呈している。そこでは経済・政治だけはなく、「法律」の観点からも的確に動静を把握する能力が求められる。そこで、将来、国際的活動を展開するに当たり、必要と思われる法規範を極力広く考察することにする。国家間の関係を規律する「人権法」、「条約法」、「平和法」、「海洋法」、「環境法」等に留まらず、法人・個人に係わる法についても検討することを目指している。1年間の学習を通し、21世紀国際社会で活躍する「国際人」に求められた法律の基礎知識を身につけていただきたいと考える。
到達目標 現代の国際人に求められる国際法知識と共に、外交官試験合格に向けての必要知識の習得を目指す。
教科書と準備するもの 教科書:ここ数年、受講者の学力及び学習態度を踏まえ、特定のテキストは指定していない。本年度も黒板を中心に授業を行い、購入・持参を義務付けるのは下記条約集に止める。しかしながら、授業中に触れた「法律用語」「歴史的事実」については、各自電子辞書等を使って必ず確認をするように求めていく。プリントなどは配付せずに、講義内容を授業中に理解し、併せて、継続的復習を通し実力向上が果たされるよう指導する考えである。

必携書物:奥脇直也編集代表『国際条約集:2018年版』有斐閣(2300円程度)。
 授業中教育上の配慮から条約集の「ページ数」を読み上げ、随時参照し授業を行うため、上記条約集は必携とする。条約集を持参しないでの授業参加は、認めないので注意されたい。条約集がなく授業に出席した場合、講義は理解できず、精神的苦痛を味わうことになるので、くれぐれも持参をするように願いたい。
参考書 講義に際に適宜指示する。日本と国際社会の係わりについて、法律、政治、歴史の関連書物を紹介するので、図書館で補完すれば、大いに知識面での強化に繋がると考える。
評価の基準 評価においては、以下の知見を得ているかについて、様々な手法を用いて確認する。①国際社会における法の位置付けを明確に理解することができているか、②国内法と国際法の違いについて適格な説明をできる能力を持っているか、③国家主権の現状について、その背景と今後について歴史的、法的解説ができる知見を持っているか、④国際社会における人権、平和の法的重要性について、歴史的観点から法的説明ができる知見を有しているか、⑤環境保護の国際化、資源保護の国際化が急務とされる理由について、適格な法的・社会的説明ができる知見を有しているか、等についてである。
具体的評価方法 後期の筆記試験に加え、小テスト並びにレポート点、授業態度、授業中における質問回数と質問内容とを総合点に勘案して決定する。具体的には秋季試験80点、小テスト20点とし、レポート・宿題・質問回数・内容を20点の範囲で加算点とする。
 授業中に覚えることを目指すので、常に真剣に臨んでいただきたい。そのため授業中の飲食・私語は当然のことながら、遅刻・途中入退室も原則として認めない。常に礼節ある授業態度を求めると共に、不謹慎な学生には容赦なく退室を命じた上、授業評価点を大幅に減点する(私語等については、30点の減点)。 出席は学生の本分であり、当然果たすべき責務と考えられることから、出席点を加算し評価することはしない。
授業評価アンケート
フィードバック・
受講生へメッセージ
アンケート結果を踏まえて授業レベルを調整している。学生の満足度を見て、法学、歴史文化について基起知識が十分にあると確認された場合には、次年度の授業レベルを大きく上げることも行っている。
単位互換
特記 国際法Aの講義内容を継続的に発展的科目のため、国際法Aの既習を前提とする。

授業計画
第1回 内容
国際平和の新型維持体制(1):国連の場を利用した討議 論点の明確化 国際世論の形成 平和に向けた努力の期待
授業時間外における学修(予習・復習等) 前期授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、国連について教科書、電子辞書を用いて基礎用語を確認しておくこと。
授業実施特記 条約集を必ず持参すること
第2回 内容
国際平和の新型維持体制(2):裁判の利用 日本と国際裁判 マリアルース号事件など ICJの努力 勧告的意見制度の存在意義
授業時間外における学修(予習・復習等) 前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、日本裁判制度について憲法の教科書を読み返し、国際裁判との違いを認識できる基礎知識を確認しておくこと。
授業実施特記 条約集を必ず持参すること
第3回 内容
国際平和の新型維持体制(3):戦争違法化意識の浸透 正戦論と全面的違法化までの歴史的展開 共同制裁措置(経済制裁・軍事制裁)
授業時間外における学修(予習・復習等) 前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、「正義とは何か」について法学の教科書を読み返し、基礎知識を深めておくこと。
授業実施特記 条約集を必ず持参すること
第4回 内容
第3法原則:環境・資源保護環境問題と平和 環境問題が意識されるようになった歴史的経緯 産業革命の功罪 子供の受難 石炭戦争 植民地戦争
授業時間外における学修(予習・復習等) 前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、産業革命についての歴史的意義について、世界史の教科書を読み返し、基礎知識を確認しておくこと。
授業実施特記 条約集を必ず持参すること
第5回 内容
環境問題の果たす意義と国際規範:国際的規範形成までの流れ ストックホルム宣言 アジェンダ21に至る経緯と規範原則
授業時間外における学修(予習・復習等) 前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、環境問題について様々な用語の確認をして、予備知識を養っておくこと。
授業実施特記 条約集を必ず持参すること
第6回 内容
環境・資源を支える「人類の遺産」思想:キイワードとしての「人類の共同遺産」 海洋法・環境法に共通する意識 その後の規範発展と現在
授業時間外における学修(予習・復習等) 前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、海洋国家の特性について、地理の教科書を読み返し、基礎知識を確認しておくこと。
授業実施特記 条約集を必ず持参すること
第7回 内容
環境資源問題の課題と方向性:人類生存をかけた戦い 開発途上国と環境問題 克服に向けた世界的試み
授業時間外における学修(予習・復習等) 前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、開発途上国の存在とODAについて、用語集を用いて基礎知識を確認しておくこと。
授業実施特記 条約集を必ず持参すること
第8回 内容
第4法原則:善隣関係の維持:友好関係の維持 最も最初に生まれた原則群 歴史的流れ 中国古代国際法の概要 日本の国際法意識
授業時間外における学修(予習・復習等) 前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、政治と外交の関係について、政治学の教科書を読み返し、基礎知識を確認しておくこと。
授業実施特記 条約集を必ず持参すること
第9回 内容
外交官 条約締結 国家承認 政府承認:国家間の友好関係維持のための諸原則 外交官の不逮捕特権 その歴史的流れ 交通事故を巡る変化 国家承認とは何か 法的要件は何か 破綻国家とは 政府承認とは何を意味するのか 函館戦争での交戦団体承認
授業時間外における学修(予習・復習等) 外交官 条約締結 国家承認 政府承認:国家間の友好関係維持のための諸原則 外交官の不逮捕特権 その歴史的流れ 交通事故を巡る変化 国家承認とは何か 法的要件は何か 破綻国家とは 政府承認とは何を意味するのか 函館戦争での交戦団体承認
授業実施特記 条約集を必ず持参すること
第10回 内容
領域確定法としての海洋法条約;海洋法を巡る議論 海を持つ国と持たない国 ここでも「人類の共同財産」思想 幅員を巡る議論 海洋開発の共同事業化 海洋裁判所の意義 日本を取り巻く海洋事情
授業時間外における学修(予習・復習等) 前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、人類社会の今後について、自らの考えを深め、授業中に発言できるように準備をしておくこと。
授業実施特記 条約集を必ず持参すること
第11回 内容
領域確定法としての航空法・宇宙法:領空確定の歴史的展開 どこまでが自国の領空であるのか 共同財産としての宇宙 南極条約に見られる高邁な思想
授業時間外における学修(予習・復習等) 前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、用語集を用いて、アポロ計画、ソユーズ計画に見る宇宙計画について、基礎知識を確認しておくこと。
授業実施特記 条約集を必ず持参すること
第12回 内容
経済活動の保障制度と協力関係:平和と経済の密接化 意識の遅れがもたらした第一次・第二次世界大戦 ヒットラーの強さは経済的奇跡 為替ダンピングに対するIMF ITO体制の出現
授業時間外における学修(予習・復習等) 前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、ヒトラー、ナチスの歴史について今一度復習し、併せて、ダンピングの意味について用語集を確認して、基礎知識を確認しておくこと。
授業実施特記 条約集を必ず持参すること
第13回 内容
ボーダレス時代の経済関係:地域的経済関係の活発化 EUは何を目指してきたのか クーデンホーフカレルギーの思想 東アジア共同体思想の出現
授業時間外における学修(予習・復習等) 前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、EUについての歴史的意義について、世界史の教科書を読み返し、基礎知識を確認しておくこと。
授業実施特記 条約集を必ず持参すること
第14回 内容
国際社会の責任強化と紛争解決:国際社会の緊密化と責任体制の強化 国家責任論の整備 国内不法行為との違いと近接化 
授業時間外における学修(予習・復習等) 前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、社会的責任の在り方について、法学の教科書を読み返し、基礎知識を確認しておくと共に、自らの考えを整理してクラスで発表できるようにしておくこと。
授業実施特記 条約集を必ず持参すること
第15回 内容
新しい国際社会の到来:21世紀における人類の生存をかけた戦いとは何か 国家思想の低迷と変容 国家とは何か、改めて考える 国民国家はどのように変化しているか 個人の果たす役割と人類社会の今後 法の果たす役割と課題
授業時間外における学修(予習・復習等) 前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、1年間の授業を通して、国際法の在り方を巡り、どのような部分を自ら感じ取ったか、同僚学生に対してプレゼンテーションできるように、習得知識を整理しておくこと。
授業実施特記 条約集を必ず持参すること