| 授業の概要・ねらい |
本講義は、現代国際社会（国際コミュニティ）を規律する様々な法規範について、歴史的視点にも配慮しながら検討する。現代の国際社会は、複雑で多様な様相を呈している。そこでは経済・政治だけはなく、「法律」の観点からも的確に動静を把握する能力が求められる。そこで、将来、国際的活動を展開するに当たり、必要と思われる法規範を極力広く考察することにする。国家間の関係を規律する「人権法」、「条約法」、「平和法」、「海洋法」、「環境法」等に留まらず、法人・個人に係わる法についても検討することを目指している。１年間の学習を通し、２１世紀国際社会で活躍する「国際人」に求められた法律の基礎知識を身につけていただきたいと考える。 |
| 到達目標 |
現代の国際人に求められる国際法知識と共に、外交官試験合格に向けての必要知識の習得を目指す。 |
| 教科書と準備するもの |
教科書：ここ数年、受講者の学力及び学習態度を踏まえ、特定のテキストは指定していない。本年度も黒板を中心に授業を行い、購入・持参を義務付けるのは下記条約集に止める。しかしながら、授業中に触れた「法律用語」「歴史的事実」については、各自電子辞書等を使って必ず確認をするように求めていく。プリントなどは配付せずに、講義内容を授業中に理解し、併せて、継続的復習を通し実力向上が果たされるよう指導する考えである。
必携書物：奥脇直也編集代表『国際条約集：２０１８年版（２３００円程度）。
授業中教育上の配慮から条約集の「ページ数」を読み上げ、随時参照し授業を行うため、上記条約集は必携とする。条約集を持参しないでの授業参加は、認めないので注意されたい。条約集がなく授業に出席した場合、講義は理解できず、精神的苦痛を味わうことになるので、くれぐれも持参をするように願いたい。 |
| 参考書 |
講義に際に適宜指示する。日本と国際社会の係わりについて、法律、政治、歴史の関連書物を紹介するので、図書館で補完すれば、大いに知識面での強化に繋がると考える。 |
| 評価の基準 |
評価においては、以下の知見を得ているかについて、様々な手法を用いて確認する。①国際社会における法の位置付けを明確に理解することができているか、②国内法と国際法の違いについて適格な説明をできる能力を持っているか、③国家主権の現状について、その背景と今後について歴史的、法的解説ができる知見を持っているか、④国際社会における人権、平和の法的重要性について、歴史的観点から法的説明ができる知見を有しているか、⑤環境保護の国際化、資源保護の国際化が急務とされる理由について、適格な法的・社会的説明ができる知見を有しているか、等についてである。 |
| 具体的評価方法 |
前期筆記試験に加え、小テスト並びにレポート点、授業態度、授業中における質問回数と質問内容とを総合点に勘案して決定する。具体的には秋季試験８０点、小テスト２０点とし、レポート・宿題・質問回数・内容を２０点の範囲で加算点とする。
授業中に覚えることを目指すので、常に真剣に臨んでいただきたい。そのため授業中の飲食・私語は当然のことながら、遅刻・途中入退室も原則として認めない。常に礼節ある授業態度を求めると共に、不謹慎な学生には容赦なく退室を命じた上、授業評価点を大幅に減点する（私語等については、３０点の減点）。 出席は学生の本分であり、当然果たすべき責務と考えられることから、出席点を加算し評価することはしない。
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| 第1回 |
内容
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国際コミュニテイの現実と法的課題；現代世界の法秩序の内容 日本を取り巻く法的環境 国際法知識を必要とする理由 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
授業のアウトラインを理解するため、第１回開始までに、世界史の現代編を復習すると共に、授業後は条約文を引き写し概要を押さえた上で、授業に出席すること。 |
| 授業実施特記 |
条約集を必ず持参すること。 |
| 第2回 |
内容
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国際コミュニテイの構成者；社会あるところに法あり 国際社会にも妥当する法原理 国際社会を構成するのは誰か 「国家 国際機関 法人 私人」の果たすべき役割 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、指示されたキーワードについて、理解を深めておくこと。 |
| 授業実施特記 |
条約集を必ず持参すること。 |
| 第3回 |
内容
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国家・個人・法人・国際組織の役割と関係：かっては主役であった「国家」 国家以外の構成者の役割増加 相互依存体制の出現 国際社会を脅かす環境問題 人類の生き残りをかけた各自の存在 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、憲法の国家論について教科書を復習し、授業に出席すること。 |
| 授業実施特記 |
条約集を必ず持参すること。 |
| 第4回 |
内容
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国際コミュニテイにおける法の種類（１）；成文法としての「条約」 条約の名称とその位置づけ 国内的慣習法と国際的慣習法 数の違いと理由 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、日本国憲法における条約の位置付について憲法の教科書を復習した上で、授業に出席すること。 |
| 授業実施特記 |
条約集を必ず持参すること。 |
| 第5回 |
内容
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国際コミュニテイにおける法の種類（２）；文明国の認めた法の一般原則 国内法における「条理」との関係 学説の位置づけ |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、文明国に対する自分の考えを整理し、２００字程度のコメントを用意し、授業に出席すること。 |
| 授業実施特記 |
条約集を必ず持参すること。 |
| 第6回 |
内容
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国際コミュニテイにおける法の調査方法：法源のチェック方法 国連の条約集の価値とその限界 国際慣習法の確認方法 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、法学の教科書を読み返し、法源について知識を整理しておくこと。 |
| 授業実施特記 |
条約集を必ず持参すること。 |
| 第7回 |
内容
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第１法原則：人権の国際的保障：何故国際的に人権保護を考えるのか ナチスによるホロコースト 人道的干渉について 戦後の法学の発展と他の社会科学の概要 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、世界史の教科書を読み返し、ナチスによるホロコーストの実態について知識を整理しておくこと。 |
| 授業実施特記 |
条約集を必ず持参すること。 |
| 第8回 |
内容
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国際的人権概念と国際的保障方法（１）：人権体制のメニュー 世界人権宣言の意義と限界 国際人権規約の意義 他の人権条約の存在価値と理由 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、憲法の教科書を読み、現代社会における人権について知識を整理しておくこと。 |
| 授業実施特記 |
条約集を必ず持参すること。 |
| 第9回 |
内容
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国際的人権概念と国際的保障方法（２）：人権の具体的確保 ダークホース的存在の「報告制度」の活躍 選択議定書への期待と現実 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、人間心理におけるプライドについて、予めネットや図書館資料を利用して知識を得ておくこと。 |
| 授業実施特記 |
条約集を必ず持参すること。 |
| 第10回 |
内容
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日本の人権と国際主義の中での課題（１）；日本の人権状況とその国際的関心 日本の人権のウイークポイント |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、日本社会について特徴となる社会問題について考えを深め、既存の知識を整理し、まとめておくこと |
| 授業実施特記 |
条約集を必ず持参すること。 |
| 第11回 |
内容
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日本の人権と国際主義の中での課題（２）：同和問題とは何か 何故国際的に注目されるのか 行刑問題に対する国際的批判 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、同和についての既存の知識を振り返ると共に、刑法・刑事政策の授業で使用した教科書を読み返し、罪と刑罰について知識を深めておくこと。 |
| 授業実施特記 |
条約集を必ず持参すること。 |
| 第12回 |
内容
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第２法原則；平和維持の発展：どうやって平和を守るのか 平和の維持と迅速なる平和回復 人類は長年苦闘してきた課題 政策実現手段としての戦争の位置付け |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、世界史の教科書を読み返し、戦争の歴史と人々の暮らしについての知識を整理しておくこと。 |
| 授業実施特記 |
条約集を必ず持参すること。 |
| 第13回 |
内容
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平和原則と国際人道法（１）：戦争を早期に解決させるためには恨みを残さない 戦争行為にはルールを設け正々堂々行わせる 戦時国際から国際人道法へ |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、ネット等を使って、第一次世界大戦、第二次世界大戦についての知識を知識を整理しておくこと。 |
| 授業実施特記 |
条約集を必ず持参すること。 |
| 第14回 |
内容
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平和原則と国際人道法（２）：開戦方法 使用武器の制限 交戦方法 フェアな戦争 捕虜に対する人道的対応 日本に対する評価と批判 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、武士道精神について図書館で調査し、知識を整理しておくこと。 |
| 授業実施特記 |
条約集を必ず持参すること。 |
| 第15回 |
内容
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国際平和の旧型維持体制：紛争を早期に解決する旧来から手法 事実調査 満州事変に見る限界 居中調停 キャンプデービット 日露戦争 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
前回授業における板書の復習を行い理解を深めると共に、日本史の教科書を読み返し、日露戦争、満州事件の概要を整理しておくこと。 |
| 授業実施特記 |
条約集を必ず持参すること。 |