授業の概要・ねらい |
授業のねらい:
基本的構成要件を中心に、犯罪成立の共通要素について講義する。
授業の概要:
刑法総論は、犯罪と刑罰に関する法律に共通する原理・原則を学習する講座です。一口に犯罪といっても、何が犯罪なのか直感的に決めているわけではありません。何が犯罪になるのか、犯罪とは何かを厳密に定義しておかねばなりません。なんとなくワルそう、アノ人はアヤシイ、と誰かが感じただけで処罰される世界は健全とはいえません。そうならないために、犯罪とはなにか、刑罰とは何か、その根本をしっかりと考える必要があります。刑法は社会を安全にする法律の一つです。その基本をしっかりと学習していきましょう。
履修生の理解度により、授業の進度を調整することがあります。
本講座は、講義形式で進める。 |
到達目標 |
犯罪成立要素の共通要素および不成立事由に関する基礎知識を身につける。
犯罪論の総論として、犯罪成立の共通要素を検討することができる。(刑法総則の考察) |
教科書と準備するもの |
「刑法講義総論」大谷實、成文堂
2018年度版の六法(毎回必携)
指定教科書の立場を支持できない場合は、体系書といわれるものの中から、各自で選択するとよい。(開講時にも説明する。自分に合いそうだと感じたものを選ぶとよい。できるだけ詳しいものを推奨する。)
基本書の選択ガイドとして、下記のようなものを示しておく(下記リストのほかから選択してもよい)。(順不同)
「講義刑法学・総論」井田良、有斐閣
「刑法総論講義」川端博、成文堂
「刑法総論」斎藤信治、有斐閣
「刑法総論」曽根威彦、弘文堂
「刑法総論」高橋則夫、成文堂
「刑法総論」立石二六、成文堂
「刑法総論」西田典之、弘文堂
「刑法総論講義」前田雅英、東大出版
「判例刑法総論」西田ほか、有斐閣
「刑法総論」山口厚、有斐閣
「刑法総論」山中敬一、成文堂
ほか |
参考書 |
「刑法判例百選1総論」山口・佐伯(編)、(有斐閣)
「最新重要判例250 刑法」前田雅英、(弘文堂)
「新基本法コンメンタール 刑法 (別冊法セミ219)」浅田・井田(編)、(日本評論社)
「新・判例ハンドブック【刑法総論】」高橋・十河(編)、(日本評論社)
ほかの参考書は適宜指示する。 |
評価の基準 |
刑法総論の重要論点に関する学説・判例について説明することができる。その到達度によって評価する。
学期末試験および中間試験より評価する(各50%ずつ)。〔中間と期末の2回実施する試験を受験すること。〕
評価の補助として、講義時間内の小テスト、在宅作成のレポートを課すことがある。
※ manabaを利用して レポート課題などを告知する場合がある。各自でmanabaへの接続方法に慣れておくこと。 |
具体的評価方法 |
全試験の総得点によって評価する。〔計2回実施する試験を受験すること。配分は各50%ずつ〕
中間試験・学期末試験は論述式を予定(形式は予告する)。
補助評価を加味する場合の比率は、総合成績の1割(最大10%)までとする |
関連リンク |
manaba 国士舘大学 KLIC |
第1回 |
内容
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違法性と責任 違法性と責任の相違、責任判断の特徴について概説する。 責任の要素(基本部分)について講義する。
秋学期の進め方 春学期試験講評 (授業進度等により変更する場合がある)
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
[準備等]違法性と責任の異同について読んでくること。 [復習]責任判断の特徴について整理する。 (所要時間 計180分) なお、この所要時間は準備および復習に少なくとも必要な時間である。(以下同じ) |
授業実施特記 |
ミニ・ガイダンス |
第2回 |
内容
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責任とは何か 偶然責任論・心理的責任論・規範的責任論について講義する。 道義的責任論・社会的責任論、行為責任論・行為者責任論・人格責任論について解説する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
[準備等]責任の本質をめぐる対立について読んでくること。 [復習]責任を巡る対立軸をまとめる。 (所要時間 各90分) |
授業実施特記 |
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第3回 |
内容
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責任能力、期待可能性 刑法における責任能力の意義について解説する。 期待可能性の意義・内容・判断基準について講義する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
[準備等]責任能力の意義・基準、期待可能性の意義・体系的地位・基準について読んでくること。 [復習]期待可能性について整理する。 (所要時間 各90分) |
授業実施特記 |
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第4回 |
内容
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故意とは何か 刑法における故意(および過失)について講義する |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
準備等]構成要件的故意と責任故意の相違・要件について読んでくること。 [復習]故意過失の意義・種別をまとめる。 (所要時間 各90分) |
授業実施特記 |
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第5回 |
内容
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違法性の意識 責任故意と違法性の意識の関係について講義する。 故意説および責任説について解説する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
準備等]責任故意における違法性の意識をめぐる、内容・程度の対立について読んでくること。 [復習]違法性の意識の体系的位置づけと、各学説を整理する。 (所要時間 各90分) |
授業実施特記 |
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第6回 |
内容
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過失とは何か 注意義務 刑法における過失の意義・内容について講義する。 注意義務とその懈怠の意義について解説する。 結果予見義務・結果回避義務について解説する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
[準備等]構成要件的過失と責任過失の相違・要件、客観的/主観的注意義務について読んでくること。 [復習]注意義務とその前提となる可能性についてまとめる。 (所要時間 各90分) |
授業実施特記 |
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第7回 |
内容
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重要論点の再確認 (秋学期) 学習した重要論点をまとめる。
中間試験 (日程が前後する場合がある) ※ 追試験に該当する事由により中間試験を受験できなかった者には、manabaを通じてレポート課題を告知する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
[準備等]ここまで扱ってきた論点の復習。学説・判例・立法例、答案構成を準備してくること。 [復習]自己の知識の再点検をおこなう。 (所要時間 計180分+試験対策学習) |
授業実施特記 |
授業内試験 |
第8回 |
内容
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錯誤1・具体的事実の錯誤 同一構成要件内の錯誤について講義する。
中間試験講評 (授業進度等により実施日を変更する場合がある) |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
[準備等]錯誤の種別、構成要件的錯誤、錯誤をめぐる学説について読んでくること。 [復習]答案の書き方を省察する。事実の錯誤について整理する。 (所要時間 各90分) |
授業実施特記 |
試験解説と答案構成のアドヴァイス |
第9回 |
内容
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錯誤2・抽象的事実の錯誤 複数の構成要件にまたがる錯誤について講義する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
[準備等]錯誤学説による考え方の違い、刑法38条の意義について読んでくること。 [復習]確説による錯誤の処理の違いを整理する。 (所要時間 各90分) |
授業実施特記 |
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第10回 |
内容
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錯誤3・違法性の錯誤 違法性の意識にかかわる錯誤について講義する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
[準備等]責任故意における錯誤、違法性の意識の体系的地位について読んでくること。 [復習]違法性の意識の位置づけについてまとめる。 (所要時間 各90分) |
授業実施特記 |
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第11回 |
内容
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教唆犯・従犯 正犯の意義・種別について解説する。 正犯と共犯の区別方法について講義する。 狭義の共犯(加担犯)について講義する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
[準備等]正犯と共犯の区別、加担犯の要件について読んでくること。 [復習]正犯/共犯を区別する諸学説について整理する。加担犯の要件についてまとめる。 (所要時間 各90分) |
授業実施特記 |
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第12回 |
内容
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共同正犯 共同正犯の意義・内容について講義する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
[準備等]共犯学説と共同正犯の位置づけ、共同正犯の要件、共謀共同正犯について読んでくること。 [復習]共犯学説について整理する。実行共同正犯・共謀共同正犯についてまとめる。 (所要時間 各90分) |
授業実施特記 |
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第13回 |
内容
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未遂犯1・障害未遂、不能犯 未遂犯概念について講義する。 未遂犯の種別を解説する |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
[準備等]未遂犯の意義と要件について読んでくること。 [復習]未遂犯の要件、未遂の処罰根拠をまとめる。 (所要時間 各90分) |
授業実施特記 |
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第14回 |
内容
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未遂犯2・中止犯 中止未遂の意義と要件について講義する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
[準備等]中止犯の要件、障碍未遂との区別について読んでくること。 [復習]任意性要件を中心に中支藩の成立要件をまとめる。 [今後の予習等]期末試験に対して各自で準備すること。 (所要時間 各90分) |
授業実施特記 |
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第15回 |
内容
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犯罪論における諸問題(罪数・意思連絡と共犯) 学習した重要論点をまとめる。
(注) 期末試験 (定期試験期間中に実施の予定であるが、授業内試験とする場合がある。事前に告知する。) |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
[準備等]刑法学における罪数論の意義、共犯と錯誤について読んでくること。 [復習等]講座内で扱われた項目について理解程度を自己評価し、達成度の低い箇所を復習して確実に知見を修得すること。 (所要時間 計180分+試験対策学習) |
授業実施特記 |
まとめ、(試験) |