授業の概要・ねらい |
・「会計史B」では、先行関連授業である「会計史A」を承けて、会計の通史、その中でも主としてわが国の会計の歴史を取り上げ、これに関係する欧米の会計事情の理解とともに、会計学を学ぶ上で必要となる会計史の基礎的知識の学修をめざす。
・特に「会計史B」の授業では、江戸時代までのわが国固有の簿記法(「和式帳合」)の特徴、および、これに代わるものとしての洋式簿記(特に複式簿記)の明治初期における導入の状況、さらに、商法(「明治商法」)制定以後のわが国企業における制度会計の形成と確立の過程、そして、かかる過程においてわが国の企業が関わった企業不正事件―会計不正事件の具体的事例を取り上げながら、明治以降の企業会計制度の歴史的展開について解説する。
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到達目標 |
①江戸時代まで商家で実践されていたわが国固有の簿記法(「和式帳合」)の特徴、および、これに代わるものとしての洋式簿記(特に複式簿記)の明治初期における導入の状況に関する基礎的知識を習得する。
②商法(「明治商法」)制定以後のわが国企業における制度会計の形成と確立の過程に関する基礎的知識を習得する。
③企業会計制度が形成・確立される過程において、わが国の企業が関わった企業不正事件―会計不正事件の具体的内容と問題点に関する基礎的知識を習得する。 |
教科書と準備するもの |
・中野常男・清水泰洋(共編著)、近代会計史入門、同文舘出版、2014
・吉見 宏、ケースブック監査論 (第5版)、新世社、2013
(なお、別途、関連する補足的資料を“manaba”に掲載するので、履修生は各自の責任でダウンロードすること) |
参考書 |
平林喜博(編著)、近代会計成立史、同文舘出版、2005
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評価の基準 |
以下の①~③について、リポートと試験を用いて、その到達度による成績評価を行う。一
①江戸時代まで商家で実践されていたわが国固有の簿記法(「和式帳合」)の内容、および、これに代わるものとしての洋式簿記(特に複式簿記)の明治初期における導入の状況に関する基礎的知識を習得できていること。
②商法(「明治商法」)制定以後のわが国企業における制度会計の形成と確立の過程に関する基礎的知識を習得できていること。
③企業会計制度が形成・確立される過程において、わが国の企業が関わった企業不正事件―会計不正事件の具体的内容と問題点に関する基礎的知識を習得できていること。 |
具体的評価方法 |
上記の評価基準について、リポート(3回、各10%)、および、定期試験(70%)により評価する。
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第1回 |
内容
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ガイダンス ・「会計史B」の授業全体の概要について説明する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
予習:当該科目のシラバスを読んでおくこと。 復習:ガイダンスでの説明を前提に、教科書(中野・清水(共編著)『近代会計史入門』(特に第6章)と吉見『ケースブック監査論』)における解説内容の大まかな流れを把握しておくこと。
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授業実施特記 |
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第2回 |
内容
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わが国固有の簿記法(「和式帳合」)の特徴 ・複式簿記(イタリア式簿記)と異なるわが国固有の簿記法(「和式帳合」)の特徴を中心に、江戸時代におけるわが国の会計事情について解説する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
予習:教科書(中野・清水(共編著)『近代会計史入門』)の第6章と“manaba”掲載の関連資料を事前に読んで、疑問点をメモしておく。 復習:わが国固有の簿記法である「和式帳合」の特徴についてまとめる。
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授業実施特記 |
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第3回 |
内容
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わが国への洋式簿記(特に複式簿記)の導入 ・従来の「和式帳合」に代わるものとして洋式簿記(特に複式簿記)が導入された明治前期のわが国の会計事情について解説する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
予習:教科書の第6章と“manaba”掲載の関連資料を事前に読んで、疑問点をメモしておく。 復習:明治初期に欧米の簿記書の影響を受けてわが国で出版された簿記書の特徴についてまとめる。 |
授業実施特記 |
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第4回 |
内容
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わが国における企業会計制度の形成と展開 ・明治時代の商法(現 会社法)の制定から、第二次世界大戦後の証券取引法(現 金融商品取引法)の制定を背景とした、わが国における企業会計制度(制度会計)の形成と展開について解説する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
予習:“manaba”掲載の関連資料を事前に読んで、疑問点をメモしておく。 復習:商法会計(現 会社法会計)と証券取引法会計(現 金融商品取引法会計)、それぞれの目的と規制内容、特に財務報告と監査にかかわる側面の特徴についてまとめる。 |
授業実施特記 |
第1回リポートの課題を提示(次回の授業で回収) |
第5回 |
内容
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大日本精糖事件 ・上記の事例を基に、監査の必要性とその起源について解説する。
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
予習:教科書(吉見『ケースブック監査論』)の第1章と“manaba”掲載の関連資料を事前に読んで、疑問点をメモしておく。 復習:監査の必要性とその起源についてまとめる。
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授業実施特記 |
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第6回 |
内容
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雅叙園観光事件 ・上記の事例を基に、監査にかかわる会計専門職業人について解説する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
予習:教科書の第2章と“manaba”掲載の関連資料を事前に読んで、疑問点をメモしておく。 復習:高度専門職業人としての会計専門職業の存在意義についてまとめる。
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授業実施特記 |
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第7回 |
内容
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日本コッパース事件 ・上記の事例を基に、監査に対する会計専門職業人と社会との間に存在する認識上のギャップ(監査期待ギャップ)の問題について解説する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
予習:教科書の第3章と“manaba”掲載の関連資料を事前に読んで、疑問点をメモしておく。 復習:監査期待ギャップ問題、特に日本のそれについてまとめる。 |
授業実施特記 |
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第8回 |
内容
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山陽特殊製鋼事件 ・上記の事例を基に、証券取引法(現 金融商品取引法)監査制度について解説する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
予習:教科書の第4章と“manaba”掲載の関連資料を事前に読んで、疑問点をメモしておく。 復習:当該事件発生当時における公認会計士監査の問題点についてまとめる。 |
授業実施特記 |
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第9回 |
内容
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カネボウ(鐘紡)事件 ・上記の事例を基に、金融商品取引法監査制度について解説する |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
予習:教科書の第4章(「コラム」)と“manaba”掲載の関連資料を事前に読んで、疑問点をメモしておく。 復習:当該事件発生当時における公認会計士監査の問題点についてまとめる。 |
授業実施特記 |
第2回リポートの課題を提示(次回の授業で回収) |
第10回 |
内容
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興人事件と三田工業事件 ・上記の事例を基に、監査役監査と会計監査人監査について解説する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
予習:教科書の第5章・第6章と“manaba”掲載の関連資料を事前に読んで、疑問点をメモしておく。 復習:わが国の監査制度における監査役監査と会計監査人監査の問題点についてまとめる。 |
授業実施特記 |
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第11回 |
内容
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平和相互銀行事件 ・上記の事例を基に、会社機関としての監査役の問題点について解説する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
予習:教科書の第5章(「コラム」)と“manaba”掲載の関連資料を事前に読んで、疑問点をメモしておく。 復習:会社機関としての監査役の問題点についてまとめる。 |
授業実施特記 |
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第12回 |
内容
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住友商事事件 ・上記の事例を基に、金融商品取引法監査と監査役監査それぞれにおける監査報告書について解説する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
予習:教科書の第8章と“manaba”掲載の関連資料を事前に読んで、疑問点をメモしておく。 復習:監査意見と監査報告書の問題点についてまとめる。 |
授業実施特記 |
第3回リポートの課題を提示(次回の授業で回収) |
第13回 |
内容
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大和銀行事件 ・上記の事例を基に、内部監査と内部統制について解説する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
予習:教科書の第9章・第10章と“manaba”掲載の関連資料を事前に読んで、疑問点をメモしておく。 復習:内部統制と内部統制報告書についてまとめる。 |
授業実施特記 |
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第14回 |
内容
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なみはや銀行事件 ・上記の事例を基に、企業の継続性と監査について解説する。
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
予習:教科書の第11章と“manaba”掲載の関連資料を事前に読んで、疑問点をメモしておく。 復習:継続企業 (going concern) の前提と監査意見についてまとめる。 |
授業実施特記 |
第4回リポートの課題を提示(次回の授業で回収) |
第15回 |
内容
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授業のまとめ ・第2回から第14回までの授業で解説した主要な内容について総括する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
予習:教科書と“manaba”掲載の関連資料の全体を通読することにより、主として明治初期以降のわが国の会計の歴史的展開の過程を改めて理解すること。 復習:リポートと試験の結果をふまえて、自ら目標を定めてさらなる学修を進めること。
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授業実施特記 |
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