最終更新日:2018/03/17
Syllabus
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概要
対象年度 年度 2018 (週1コマ)秋期 開講時限 月5
開講学部・学科等 政経
科目コード 631036100 科目ナンバー PEA02106
授業名 政治学史(近代以降)
英文授業名 History of Political Science (Modern)
担当教員 的射場 敬一

授業形態 講義
e-learning利用 manaba その他:
担当形態 単独
関連する授業 政治学、政治哲学、政治学原論、西洋政治史、日本政治思想史
当科目履修前に履修して
おくことが望ましい科目
政治学
後続関連授業 政治制度論、政治哲学
教職課程科目 教科に関する科目
テーマ・キーワード 政治思想、自由、平等、基本的人権、権力、国家、社会契約説、宗教改革、資本主義、デモクラシー

授業の概要・ねらい  近代とは何か、そこでの国家論の特質と意義を明らかにするために、中世封建社会とそれを代表する政治思想として、トマス・アクィナスの国家論をまず取り上げる。次に、近代の開始を告げるルネサンスの思想家マキャヴェリの政治思想から、あらたな国家論の構想としての社会契約論を取り上げる。
 身分制的な前近代社会から近代社会の転換の中で、国家論がいかに変貌してかをおいかけてゆく。とりわけ社会契約説において、前政治的状態としての自然状態を想定することで、人は生まれながらに自由で平等であるという観念を手に入れた。そういう自由と平等を人権としてとらえ、社会契約説は、そういう人権を守るために国家を構想した。その軌跡をホッブズ、ロック、ルソーとたどることで明らかにしていく。
 基本的人権やデモクラシーが、いかなる背景からどのようにして生まれたのか、その意義を明らかにするのが、この講義の狙いである。
到達目標  国家が所与の前提であった伝統社会から、人びとの存在こそが自明であり、人びとは生まれながらに自由で平等なのだという近代の国家論への転換を明らかにすることである。
 つまり、国家は決して自明の存在ではなく、私たちの生存にとっての手段であり道具なのだということを明らかにし、政治を私たちの手に取り戻す方途を考えさせること。
教科書と準備するもの レジュメを配布
参考書 古賀敬太編著『政治概念の歴史的展開 第6巻』晃洋書房、2004年
評価の基準 試験・ レポート・ 授業態度
授業態度
1.お喋りなどの授業妨害をしないということ。
2.前の方の席で熱心に聞いているかどうか。
課題レポート
1.学期途中で課題図書を指定し、任意の章の要約とコメントを書くという課題をだします。
2.このレポートの提出が評価の前提となります。
学期末試験
1.基本的に講義の全範囲から出題します。
具体的評価方法 授業態度の評価
 授業への参加の熱意をみます。
課題レポート
 課題レポートは、専門書の読解力とコメントする能力の育成することを目指しています。これが評価の必須の前提となります。
学期末試験
 論述と穴埋め試験からなり、評価は基本的にこの試験によって行います。 

授業評価アンケート
フィードバック・
受講生へメッセージ
 板書の字が読みにくいという指摘がありましたので、今学期は出来るだけ丁寧に読みやすいように心がけながら板書をしたいと思います。
 と同時に、大事なことのほとんどは、配布するレジュメに書き込むつもりでいます。
単位互換 世田谷6大学コンソーシアム
首都圏西部単位互換
特記

授業計画
第1回 内容
ガイダンス
1.春期の試験の結果について
2.秋期の授業内容について
授業時間外における学修(予習・復習等)  基礎教育の小中高までの授業と大学の講義の違い、つまり、大学で学ぶということはいかなることかについてガイダンス授業では講義しました。
 小中高までは「これが真理だ、これが正しい答えだ」という教科書がありましたが、大学ではその前提そのものを疑うこと、これまでの研究成果を受け入れながら研究することが大学教員には要求されています。それは講義にも反映していて、大学では真理は一つではないということ、自分の頭で考えて自分なりの真理を見つけるためのヒントを提供することが、大学の講義だと思います。
 以上のようなことをガイダンス授業では話しましたので、そのことをきちんと理解するように復習してください。
授業実施特記 レジュメの配布
第2回 内容
政治の概念について
1. 政治とは何か(春期の復習)
2.権力と支配
3.権威と支配の正当性
授業時間外における学修(予習・復習等)  政治のもっとも基礎的であり、根本的な概念である「権力」「権威」そして「支配」について講義しましたが、それを配布したレジュメで復習し、きちんと理解し頭にいれるようにしてください。
授業実施特記 レジュメ配布。
第3回 内容
中世世界の形成とクローヴィス
1.フランク王国の形成
2.合法性
3.キリスト教と正当性
授業時間外における学修(予習・復習等) レジュメで授業の復習をしてください。特に合法性と正当性という概念をものしてください。
授業実施特記 レジュメの配布
第4回 内容
封建社会の形成
1.民族移動
2.封建社会の形成
3.キリスト教共同体
授業時間外における学修(予習・復習等) 第4回の講義は、ヨーロッパに東からフン族が、南からはマホメットとともに勃興してきたサラセンが、そして北からはヴァイキングが侵攻してきた。その中で、中央集権的なフランク王国が自力では国を守れなくなる。そこで地方の豪族を中心にして防衛をするようになったことで地方分権的な社会、封建社会の形成がなされる。ということで、中学や高校の世界史の教科書の該当箇所を読んできてください。
授業実施特記 レジュメの配布。
第5回 内容
トマス・アクィナス
1.生涯と時代背景
2.理性と信仰の調和
3.国家論―封建社会の正当化―
授業時間外における学修(予習・復習等)  外民族の侵攻が一段落し、ヨーロッパ世界は大開墾時代を迎え、人口も増大し始める。キリスト教の聖地エルサレムをイスラム教徒から奪還するための十字軍の遠征が始まったのもこの時代である。ヨーロッパ社会が自信を深め、そこにイスラム世界に保存されていた古代ギリシアやローマの文化や学問が流入してくる。特にアリストテレスの哲学は、キリスト教の神学とは真っ向から対立するものであった。
 トマス・アクィナスが理性を重視するアリストテレス哲学と信仰の立場のキリスト教神学とをどう宥和させたのかについて、もう一度きちんと復習して理解を深めてほしい。
授業実施特記 レジュメの配布
第6回 内容
中世世界の崩壊
1.生の動態化
2.ルネサンスとヒューマニズム
授業時間外における学修(予習・復習等)  中世封建社会がどのように壊れていったのか。その起爆剤となったのは、中世都市であるが、その中世都市がどのようなものであり、なぜ中世都市とそこに生きた市民階級(ブルジョワジー)が、近代を準備したのかについて配布したレジュメをもとに理解するようにしてほしい。
授業実施特記 レジュメの配布
第7回 内容
マキァヴェッリ1
1.時代背景と生涯
2.リアリズムの政治学
授業時間外における学修(予習・復習等)  マキァヴェッリは、目的のためには手段を選ばずという権謀術数の祖というような理解があります。それをマキァヴェッリズムという言い方で、嫌う人も多い思想家です。
 今回の講義では、なぜマキァヴェッリが、古代中世以来の伝統的な政治学の枠から外れてなぜリアリズム(現実主義)の政治学を樹立しなければならなかったのかに力点をおいて講義しました。マキァヴェッリ政治学の意義は何なのかを理解するように、もう一度レジュメを読んで復習してください。
授業実施特記 レジュメの配布
第8回 内容
マキャヴェリ2
1.ヴィルトウとフォルトゥナ
2.人間観
3.スタトとしての国家論
授業時間外における学修(予習・復習等)  マキァヴェッリの政治思想を紹介したのですが、その新しさ、斬新さに驚かれたと思います。付録としてマキァヴェッリの文章の抜粋を掲載しましたが、是非味読してほしい。また主著『君主論』は、文庫本でも簡単に入手できます。おもしろいです。是非手にとって読んでほしい。
授業実施特記 レジュメの配布
第9回 内容
宗教改革と宗教戦争
1.宗教改革
2.宗教戦争
3.30年戦争
授業時間外における学修(予習・復習等)  中世ヨーロッパはキリスト教共同体としてローマ法王を中心にまとまっていました。ヨーロッパ世界が地域国家として、主権国家として独立する大きなきっかけとなったのが、宗教改革であり、それに続く宗教戦争です。
 ヨーロッパ全体を巻き込んだ宗教戦争、ある意味最後の宗教戦争が30年戦争です。主戦場となったドイツでは人口の3分1が亡くなったと言われています。いったいなぜ宗教戦争は、大量殺戮になるのかについての理解を、講義の後にレジュメを参考に深めてください。
授業実施特記 レジュメの配布
第10回 内容
ホッブズ1
1.ピューリタン革命
2.哲学の方法と体系
3.政治理論のパラダイム変換
授業時間外における学修(予習・復習等)  フランスのジャン・ボーダン、イギリスのホッブズは、まさに危機の17世紀の思想家です。宗教が平和をもたらすのではなく、内乱を、いつ果てることもない戦争を生み出した時代に、どうやって平和をもたらすのかを考えた政治哲学者です。
 講義の復習として行ってほしいのは、哲学の方法のバラダイム転換を理解することです。具体的にどのような発想で行ったのかをレジュメを参考にしながら理解につとめてください。
 
授業実施特記 レジュメの配布
第11回 内容
ホッブズ2
1.自然状態論
2.社会契約と国家の形成
授業時間外における学修(予習・復習等)  ヨーロッパ全土を巻き込んだ宗教戦争を体験することで、国家論を神に基礎づけないで構築するという、まったく新しい国家論を樹立します。ホッブズの場合は、それは社会契約説という形で結実しました。国家の基礎を神に求めることなく、国民相互の社会契約に求めたのです。
 社会契約説は、その後、ロック、ルソーと継承され、近代国家論の基礎となります。
 社会契約説というのは、どういう思想なのかを、復習としてきちんと理解できるようにしてください。
授業実施特記 レジュメの配布
第12回 内容
ロック1
1.ピューリタン革命・王政復古
2.名誉革命とロック
授業時間外における学修(予習・復習等)  同じ社会契約説をとりながら、ホッブズとロックとはまったく異なる国家論になりました。その違いは何か、どこから生じたのかについて力点をおいて講義します。ホッブズとロックの違いをきちんと頭にいれるようにレジュメと講義ノートを参考に復習してください。
授業実施特記 レジュメの配布
第13回 内容
ロック2
1.自然状態論
2.プロパティ論
3.自由主義的国家論の誕生
授業時間外における学修(予習・復習等)  ホッブズの国家論の背景には30年戦争とピューリタン革命があります。だからこそその国家論の課題は、何よりも「安全」と「平和」でした。これに対して、ロックの場合は、ようやく自信をつけてきていた市民階級を前提にして、彼らの生命・自由・財産というプロパティを保全するための国家が必要とされるものでした。
 前回に引き続き、ホッブズとの比較でロックの自由主義的国家論の成立について講義を踏まえてきちんと理解出来るように復習してください。

授業実施特記 レジュメの配布
第14回 内容
ルソー1
1.フランス絶対王政
2.啓蒙主義思想
3.啓蒙主義の愚民観
4.愚民観の克服
5.政治参加と自由
授業時間外における学修(予習・復習等)  社会契約説の3人目がルソーです。ホッブズとロックがイギリスの市民革命を背景に出てくるのに対して、ルソーは、フランスの絶対王政の中で生きました。フランスは、イギリスの革命と思想に衝撃を受けフランスでは啓蒙思想が登場します。
 ルソーが政治参加を制度化することでいかに啓蒙主義の愚民観を克服していったのか、そして、それが来るフランス革命を用意したのかについての理解を復習で改めて深めてください。
授業実施特記 レジュメの配布
第15回 内容
まとめの授業
授業時間外における学修(予習・復習等)  秋期の講義の内容を、講義ノートとレジュメできちんと復習し、この15回の授業に備えてください。
授業実施特記 まとめのテストの実施