授業の概要・ねらい |
皆さんは、今、自分が生きているこの「国」や「世の中」をどう思っているだろうか。むろん、人それぞれ、さまざまな意見があるだろう。では、江戸時代の「日本人」は「国」や「世の中」をどのように思い描いたのだろうか。また、「国」や「世の中」を良くするために、どのようなことを考えたのだろうか。歴史的文脈が異なるため、彼らの言説は、一見、奇異に思えるかもしれない。だが、多種多様な人々からなる「国」や「世の中」で、時には深刻な対立や紛争を抱えつつも、他者といかに共存できるかという、普遍的で容易に解決し得ない「政治」の問題に直面していた点では、当時の人々も現代に生きるわれわれと同様であった。また、彼らの思索が、今日の「日本人」の政治意識や「社会」観に影響を及ぼしている面もある。本授業では、近世の日本(いわゆる江戸時代)の「政治」に関わる思想を検討する。そのことを通じて、現代日本の「政治」や「社会」を規定している思想的要素を見つめ直すきっかけにしたい。 |
到達目標 |
① 近世日本の政治思想について、おおまかな流れと変容を適切に説明することができる。
② 現在では無意識の前提や「常識」となっている価値や規範を相対化する視点を身につけることができる。
③ 思想に対する趣味的な関心にとどまらず、そこから学んだ知見を今日の政治状況に結びつけ、現代政治の諸問題を指摘することができる。
|
教科書と準備するもの |
・教科書は指定しない。レジュメに基づいて授業を行う。
・毎回の授業レジュメはmanaba上にもアップするので、欠席者は各自で入手すること。
・授業内で内容を整理し周囲と議論する時間も設ける。
|
参考書 |
・渡辺浩『日本政治思想史[十七~十九世紀]』(東京大学出版会、2010年)
・田尻祐一郎『江戸の思想史 人物・方法・連関』(中公新書、2011年)
・苅部直『「維新革命」への道 「文明」を求めた十九世紀日本』(新潮選書、2017年)
・本授業が対象とする時代の歴史的背景を知るためには、講談社学術文庫版『日本の歴史』全25巻(本授業は15~19巻が該当)、岩波新書『シリーズ日本近世史』全5巻を勧める
上記以外の文献は、必要に応じて授業内で随時紹介する。 |
評価の基準 |
授業参加度と定期試験をもとに、下記の基準で評価をする。
【可】授業内容をおおよそ理解できているが、自分の意見がない(または曖昧)。
【良】授業内容をおおよそ理解できており、自分の意見を明確に述べている。
授業内容を正しく理解できているが、自分の意見がない(または曖昧)
【優】授業内容を正しく理解し、他の意見を比較検討して自説が展開できている。
|
具体的評価方法 |
◇ 授業参加度(コメント等):30点
・毎回、授業で扱ったテーマに関する意見や授業内容への意見・質問のコメントを記入する。mananaのレポート機能を利用する予定である。詳細は初回授業で指示する。
・各回3点満点で上限30点とする。無記入は1回につき上限から-3とする。
・評価基準は以下のとおり
【3点】テーマに即して具体的に記入されている
【2点】具体性に著しく欠けている(おもしろかった、つまらなかった等)
【1点】分量が極端に少ない
◇定期試験:70点
・授業で扱ったテーマに関して、自分の意見を簡潔に表現できる力を問う。 |
第1回 |
内容
|
オリエンテーション 今後の授業内容・授業ルール・評価方法について簡単に説明する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
・日本近世史(徳川時代)と明治維新について、高校の教科書や資料集等で振り返っておく。 ・授業内容の疑問点を整理しておく。 |
授業実施特記 |
|
第2回 |
内容
|
儒学・朱子学の基礎知識 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
・授業内容を整理し、疑問点があれば明らかにしておく。 ・授業内容への理解を深めるため、授業中に紹介した参考文献に可能な範囲で目を通しておく。 |
授業実施特記 |
|
第3回 |
内容
|
泰平の世と武士の思想 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
・授業内容を整理し、疑問点があれば明らかにしておく。 ・授業内容への理解を深めるため、授業中に紹介した参考文献に可能な範囲で目を通しておく。 |
授業実施特記 |
|
第4回 |
内容
|
儒学の摂取と軋轢 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
・授業内容を整理し、疑問点があれば明らかにしておく。 ・授業内容への理解を深めるため、授業中に紹介した参考文献に可能な範囲で目を通しておく。 |
授業実施特記 |
|
第5回 |
内容
|
武士の思想と儒者の悩み(再論・補足) 「家業道徳」と「市場道徳」 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
・授業内容を整理し、疑問点があれば明らかにしておく。 ・授業内容への理解を深めるため、授業中に紹介した参考文献に可能な範囲で目を通しておく。 |
授業実施特記 |
|
第6回 |
内容
|
「古学」の思想①:伊藤仁斎 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
・授業内容を整理し、疑問点があれば明らかにしておく。 ・授業内容への理解を深めるため、授業中に紹介した参考文献に可能な範囲で目を通しておく。 |
授業実施特記 |
|
第7回 |
内容
|
「古学」の思想②:荻生徂徠(1) |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
・授業内容を整理し、疑問点があれば明らかにしておく。 ・授業内容への理解を深めるため、授業中に紹介した参考文献に可能な範囲で目を通しておく。 |
授業実施特記 |
|
第8回 |
内容
|
「古学」の思想③:荻生徂徠(2) |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
・授業内容を整理し、疑問点があれば明らかにしておく。 ・授業内容への理解を深めるため、授業中に紹介した参考文献に可能な範囲で目を通しておく。 |
授業実施特記 |
|
第9回 |
内容
|
国学の思想①:本居宣長(1) |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
・授業内容を整理し、疑問点があれば明らかにしておく。 ・授業内容への理解を深めるため、授業中に紹介した参考文献に可能な範囲で目を通しておく。 |
授業実施特記 |
|
第10回 |
内容
|
国学の思想②:本居宣長(2) |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
・授業内容を整理し、疑問点があれば明らかにしておく。 ・授業内容への理解を深めるため、授業中に紹介した参考文献に可能な範囲で目を通しておく。 |
授業実施特記 |
|
第11回 |
内容
|
「市場」の政治思想:海保青陵 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
・授業内容を整理し、疑問点があれば明らかにしておく。 ・授業内容への理解を深めるため、授業中に紹介した参考文献に可能な範囲で目を通しておく。 |
授業実施特記 |
|
第12回 |
内容
|
「日本」の自画像:後期水戸学 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
・授業内容を整理し、疑問点があれば明らかにしておく。 ・授業内容への理解を深めるため、授業中に紹介した参考文献に可能な範囲で目を通しておく。 |
授業実施特記 |
|
第13回 |
内容
|
「公議輿論」と「処士横議」:横井小楠・吉田松陰を中心に |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
・授業内容を整理し、疑問点があれば明らかにしておく。 ・授業内容への理解を深めるため、授業中に紹介した参考文献に可能な範囲で目を通しておく。 |
授業実施特記 |
|
第14回 |
内容
|
「瓦解」と「御一新」 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
・授業内容を整理し、疑問点があれば明らかにしておく。 ・授業内容への理解を深めるため、授業中に紹介した参考文献に可能な範囲で目を通しておく。 |
授業実施特記 |
|
第15回 |
内容
|
まとめ これまでの授業の総復習を行い、定期試験について説明する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
・定期試験に向けて授業内容をまとめておく。 |
授業実施特記 |
|