最終更新日:2018/03/30
Syllabus
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概要
対象年度 年度 2018 (週1コマ)秋期 開講時限 木3,木4
開講学部・学科等 法・政経・文・経営
科目コード 120101800 科目ナンバー LAS01702
授業名 社会科学概論B
英文授業名 Introduction to Social Science B
担当教員 高橋 誠

授業形態 講義
e-learning利用 その他:
担当形態 単独
関連する授業
当科目履修前に履修して
おくことが望ましい科目
後続関連授業
教職課程科目
テーマ・キーワード 市民 市民社会 格差社会 再生医療 タックスヘイブン ソーシャルキャピタル 地域通貨 仮想通貨 フレキシキュリティ政策 ベーシックインカム アベノミクス 「第四次産業革命」(IoT、ビッグデータ、AI) 

授業の概要・ねらい 市民社会とは、理念としては何よりもまず市場(商品経済)を通じた「等価交換」の成立する自由・平等・公平・公正・自立・自治・共生的な社会空間である。この観点から、前半ではグローバルな視座から現代市民社会の問題群(経済格差・生命系への資本の浸透・多国籍企業の調整・「第四次産業革命」<IoT、ビッグデータ、AI>)・ベーシックインカムと経済倫理学の領域に焦点を定める。後半では市民社会の一つの水準を示している欧州連合、特に、北欧の法・社会・経済領域の制度設計をその理念とともに分析する。その際、金融財政危機に見舞われてきた欧州連合のユーロ圏において、デンマーク等のフレキシキュリティ・モデル(欧州連合司令)に代表される北欧の社会・労働政策は果たして有効性を保ち続けることができるのか、さらにベーシックインカムの政策意図についても検討することになる。その際、「アベノミクス」における社会保障・雇用政策との比較史的検討も射程に入るのは言うまでもない。
到達目標 グローバル資本主義における現代市民社会の成熟、形成過程の具体的諸相と問題点を理解し、説明できることが目標となる。
教科書と準備するもの なし。
参考書 稲葉陽二編『ソーシャル・キャピタルの潜在力』日本評論社、2008年。
高草木光一編『思想としての「医学概論」 今「いのち」とどう向き合うか?』岩波書店、2013年
若森章孝『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線』晃洋書房、2013年
高橋誠「神戸医療産業都市と市民社会」、内藤光博編『東アジアにおける市民社会の形成 人権・平和・共生』専修大学出版局、2013年、所収
渡邉芳樹『スーパーモデル・スウェーデン 変容を続ける福祉国家』法研、2013年
岡澤憲芙『北欧学のフロンティア』ミネルヴァ書房、2015年
水野和夫『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』集英社(新書)、2017年
NHKスペシャル「人体」取材班編『人体の神秘の巨大ネットワーク』(第1巻[プロローグ]神秘の巨大ネットワーク/[第1集]腎臓が寿命を決める)、東京書籍、2017年
渡辺正峰『脳の意識 機械の意識:脳神経科学の挑戦』中央公論新社(新書)、2017年
ガイ・スタンディング著、池村千秋訳『ベーシックインカムへの道』プレジデント社、2018年
評価の基準 日本の市民社会の特殊性と現代市民社会のさまざまな問題点、さらには北欧市民社会の理念が凝縮しているフレキシキュリティ・モデルについて理解しているか否かを基準にして評価する。
具体的評価方法 授業貢献度を重視し、小論文の提出と期末試験の実施等により総合的に成績を評価する。講義の出席者のみに資料・重要事項を示したプリントを配布する。期間中に、講義の主題に関する新聞記事あるいは資料を読み、各自の見解を小論文として提出して戴く。履修者が少人数の場合には講義の内容と形式が大幅に変更されることがあるので、あらかじめ了承願いたい。その場合には、討論が中心の授業になる。なお、3分の2以上の出席を評価の前提条件とすることは言うまでもない。後期定期試験(80%)・小論文(20%)の実施により、成績を総合的に評価する。
授業評価アンケート
フィードバック・
受講生へメッセージ
担当科目の授業評価が学内全体の科目平均の値とほぼ同程度であることには責任を感じている。特に、木曜の3・4限の授業は中人数という条件に恵まれたのだからなおさらである。さらに努力を重ねたい。
単位互換
特記

授業計画
第1回 内容
社会科学概論とは何か
講義計画と内容の説明
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:「講義計画と内容」を検討しておくこと
復習:「講義の計画と内容」を再度、熟読すること
授業実施特記 オリエンテーション
第2回 内容
市民概念と市民社会概念の展開
「第四次産業革命」(IoT、ビッグデータ、AI)時代直前における生活者視点から見た市民社会
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:日常生活における自分の「市民」感覚について思いを巡らせておくこと
復習:市民概念について整理しておくこと
授業実施特記
第3回 内容
現代市民社会の問題群(1)
「格差社会」の重層性:現代の貧困問題とアベノミクスの検討
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:「格差社会」や現代の貧困について考えておくこと
復習:格差の原因について整理すること
授業実施特記
第4回 内容
現代市民社会の問題群(2)
生命系への資本の浸透:バイオテクノロジー・再生医療(iPS細胞等)・介護福祉・延命処置問題
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:再生医療(iPS細胞等)について自分の考えを確認しておくこと
復習:再生医療(iPS細胞等)に関するレジュメの再読、熟考
授業実施特記 各人の再生医療に関する考えを表明
第5回 内容
現代市民社会の問題群(3)
多国籍企業の調整:環境・情報・技術開発の選択・タックスヘイブン(tax haven)
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:多国籍企業の社会的責任について考えておくこと
復習:・タックスヘイブン(tax haven)に関するレジュメの再読
授業実施特記
第6回 内容
経済倫理学(1)
社会資本・ソーシャル・キャピタル(「社会関係資本」)・社会的企業・NGO・NPO・地域通貨(と仮想通貨)・時間銀行
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:地域通貨について調べておくこと
復習:ソーシャル・キャピタルに関するレジュメの再読
授業実施特記
第7回 内容
経済倫理学(2)
企業の社会的責任と貢献問題、消費者運動
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:企業と消費者の「倫理・道徳」問題について考えておくこと
復習:企業の社会的責任について熟考すること
授業実施特記
第8回 内容
経済倫理学(3)
市民社会の形成力:労働者=消費者=市民と「第四次産業革命」(IoT、ビッグデータ、AI)問題
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:日本および世界における市民社会の成熟度について考えておくこと
復習:「第四次産業革命」は市民社会に親和的であるか否かについて熟慮すること
授業実施特記 テーマに関する討論会
第9回 内容
経済倫理学(4)
ボランティアの両義性:有償か無償か? <考察>東日本大震災後におけるボランティアについて考える
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:東日本大震災後におけるボランティアの激減傾向を直視し、改めて、ボランティアについて再度熟考したい
復習:討論会における各人の意見を踏まえて、ボランティアの問題点について検討
授業実施特記 テーマに関する討論会
第10回 内容
北欧モデルの再審(1)
フレキシキュリティ・モデル(経済・雇用政策)
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:フレキシキュリティ・モデルについて調べておくこと
復習:フレキシキュリティ・モデルに関するレジュメを熟読し、日本の雇用・労働政策と比較考察すること
授業実施特記
第11回 内容
北欧モデルの再審(2)
高い国際競争力(経済・経営)と高福祉高負担(社会福祉)
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:各自、興味のある北欧の多国籍企業(イケア、ノキア、ボルボ等)について調べておくこと
復習:国内における北欧の多国籍企業の実態について再度、振り返ること
授業実施特記
第12回 内容
北欧モデルの再審(3)
民主主義の高度化と男女共同参画政策(政治)
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:あらかじめ配布される「フラット化社会」に関するレジュメの熟読
復習:男女共同参画社会に対する自分のスタンスを確認し、自己分析すること
授業実施特記
第13回 内容
北欧モデルの再審(4)
年金制度・少子高齢化対策(社会政策)・医療サービスとベーシックインカム
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:各自の許される範囲で、日本の社会保障政策について考えておくこと
復習:スウェーデンの社会保障政策に関するレジュメの再読、熟考
授業実施特記 北欧の社会保障政策に関する討論会
第14回 内容
スウェーデンと日本の社会保障政策の比較検討
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:討論会で交わしたさまざまな見解を再吟味しておくこと
復習:スウェーデンと日本の社会保障政策の異同について熟考すること
授業実施特記 課題:小論文の提出
第15回 内容
主要論点の検討
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:秋期授業で配布されたレジュメを総覧しておくこと
復習:自分にとっての「市民社会論」のイメージを確認すること
授業実施特記