最終更新日:2018/03/23
Syllabus
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概要
対象年度 年度 2018 (週1コマ)春期 開講時限 木2
開講学部・学科等 法・政経・理工・文・経営
科目コード 120100300 科目ナンバー LAS01101
授業名 政治学A
英文授業名 Political Science A
担当教員 大木 啓介

授業形態 講義
e-learning利用 その他:
担当形態 単独
関連する授業 法学・経済学・社会学
当科目履修前に履修して
おくことが望ましい科目
後続関連授業 近代日本政治史・現代日本政治史・日本政治思想史・政治体制論・西洋政治思想史
教職課程科目 教科に関する科目
テーマ・キーワード 政治・国民国家・集権化・民主化

授業の概要・ねらい  政治学の基礎概念を現代政治の実態とからめて講述する。「政治の世界」の輪郭を、支配者と行政幹部と被支配者との三つどもえの権力闘争という観点から描出する一方、国際関係にも射程を広げ、国際政治と国内政治との関係をも吟味していく。必ずしも政治の全体像を提示する意図はないが、現代政治を的確に見る「眼」を受講者なりに身につけられるようヒントを提示していく。「政治学B」も履修することが望ましい。
到達目標 ①政治現象を原理的かつ概念的に把握できる基礎概念を修得すること。
②これに基づき近代国民国家の形成史を今日の行政国家化現象に至るまで民主化と集権化との交錯という視点から説明できること。
教科書と準備するもの 教科書は使用しない。その代わり、原則として毎回、プリントを配付する。
参考書 坂本多加雄『市場と国家』坂本多加雄選集Ⅱ(藤原書店)
慶野義雄『国民の政治学』(嵯峨野書院)
H・J・ウィーアルダ『入門 比較政治学』(東信堂)
慶野義雄ほか『国家・憲法・政治』(嵯峨野書院)
M.ウェーバー『職業としての政治』(岩波文庫)
その他、授業の進度に応じて提示していく。
評価の基準 政治現象を把握する基礎概念を修得すること、これに基づき近代国民国家の形成史を、国際的・世界史的脈絡のなかに位置づけながら、今日の行政国家化現象に至るまで民主化と集権化との交錯という視点から説明できること、主として、この2点に関する筆記試験に基づいて成績評価をおこなう。
具体的評価方法 評価基準に基づく筆記試験
授業評価アンケート
フィードバック・
受講生へメッセージ
アンケートの要請を踏まえ、難解な用語も可能な限り易しく解説するよう心がける。
単位互換
特記

授業計画
第1回 内容
授業ガイダンス
 全体社会を捉える均衡モデルと闘争モデルを紹介しながら授業方針と授業内容について解説する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)本シラバスに目を通しておく。
(復習)授業で概説した「政治」の輪郭についてまとめておく。
授業実施特記
第2回 内容
基礎視角(1) 政治権力
 権力概念を取り上げて、「国家」現象としての政治を観望する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)「政治」「政策」「政体」の辞書的定義を確認する。
(復習)権力の実体概念と関係概念、ならびにゼロサム概念と非ゼロサム概念をまとめておく。
授業実施特記
第3回 内容
基礎視角(2) 国家と暴力
 「正当な物理的暴力行使の独占」(M.ウェーバー)の意味を考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)「国家権力」に関するイメージを自分なりに文字化しておく。
(復習)ウェーバー『職業としての政治』の指定箇所を熟読玩味する。
授業実施特記
第4回 内容
基礎視角(3) 国民国家形成と政治暴力(a)
 「(近代)国家」として編成されている社会と編成されていない社会との質的相違を、いわゆる「国家の3要素」に着目して確認する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)高校「世界史」教科書の近代国家成立に関わる箇所を読んでおく。
(復習)近代国家の成立と政治暴力との関連について、特に支配-被支配の関係における実効 性、合法性、正当性を関係づけて理解する。
授業実施特記
第5回 内容
基礎視角(4) 国民国家形成と政治暴力(b)
 国家による暴力手段の独占化に伴う「政治」の意味の変化を考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)ウェーバー『職業としての政治』の指定箇所を熟読玩味する。
(復習)ウェーバーのいわゆる「物理的暴力行使の独占」後の、政治闘争の性格を確認する。
授業実施特記
第6回 内容
基礎視角(5) 私的利害と公的権威
国民国家形成史を踏まえて政治的統一体の成立要件と存続要件を考える。
 
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)ウェーバー『職業としての政治』指定箇所を熟読玩味しておく。
(復習)基礎概念としての「利害関心」と「集団」の意味を確認する。
授業実施特記
第7回 内容
基礎視角(6) 史的展開への適用(序)-国際的・世界史的脈絡への視点の導入
 国際関係(国家間システム)の形成のなかに国民国家形成過程を位置づける。 
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)領土的境界の画定が「内と外との分離」を生み、国際関係を形作るゆえんを考える。
(復習)総ての国ぐにの全地球的な政治舞台への編入過程を整理・確認する。
授業実施特記
第8回 内容
基礎視角(7) 近現代政治の動態(a)
 集権化と民主化の交錯における行政国家化現象を概観する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)ウェーバー『職業としての政治』指定箇所を熟読玩味しておく。
(復習)政治共同体の構造転換を整理・確認する。
授業実施特記
第9回 内容
基礎視角(8) 近現代政治の動態(b)
 集権化過程 ①「支配の固定化」②「支配の合理化」③「支配の機能化」
 民主化過程(背景としての近代化を含む)を通覧する。 
 
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)集権化と民主化との相互作用としての政治動態を念頭に置き、配布プリントの設問を考える。
(復習)夜警国家から福祉国家への国家観の変貌を、民主化の進展と併せて整理・確認する。
授業実施特記
第10回 内容
基礎視角(9) 近現代政治の動態(c)
 シティズンシップ(公民資格)の拡大[国民社会の漸次的統合]について考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習「自由放任」「私的自治」「夜警国家」「社会権」「自由権」「参政権」の辞書的定義と法学入門講義レベルの「基本的人権」の基礎的事項を整理しておく。
(復習)公民資格(シティズンシップ)の全成人への拡大過程を整理する。
授業実施特記
第11回 内容
基礎視角(10) 国家肥大-先進国問題への一視点
 1)国家機能の変貌 および2)「再分配」としての政治に焦点を据えて「国家肥大化」とは何かを考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)集団利害と統治権威との長期的バランス化をまとめる。
(復習)行政国家化、また福祉国家化と、財政赤字問題を確認する。
授業実施特記
第12回 内容
基礎視角(11) 今日の政治生活を捉えるための座標軸
 「最小の政治が最良の政治」か、「最大の政治が最良の政治」かを考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)前2回の配布プリントを熟読しておく。
(復習)趨勢としての「国家肥大」を、政治学の古典的問題「権力と自由」に関連づける。
授業実施特記
第13回 内容
基礎視角(12) 国際関係のなかの国民国家
 第7回のテーマを振り返り、国際的・世界史的脈絡のなかに国民国家を位置づけて、第二次世界大戦後の国際政治を概観する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)第7回の配布プリントを熟読玩味しておく。
(復習)国内政治と国際政治との相違を踏まえて、第7回配布のプリントと併せて近現代政治の大まかな変貌を捉える。
授業実施特記
第14回 内容
基礎視角(13) グローバル化と反グローバリズムのなかの国際政治と国内政治との相互浸透
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)「ボーダーレス化」「グローバル化」の意味を考えてくる。
(復習)反グローバル化論者の見解も念頭に置き、グローバル化は「国家の衰退」に結びつくかを考える。
授業実施特記
第15回 内容
総括と確認
 今学期講義内容の概括と理解度の確認
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)前回の授業内容を踏まえて政治動態モデルを再度確認しておく。
(復習)授業時に実施した確認問題を中心にして期末試験対策を練る。
授業実施特記 今学期配布したプリントをすべて持参すること。