最終更新日:2017/03/31
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概要
対象年度 年度 2017 (週1コマ)春期 開講時限 木4
開講学部・学科等 理工
科目コード 645013100 科目ナンバー SEA04003
授業名 建築技術者資格と倫理
英文授業名 Ethics for Qualified Architectural Engineers
担当教員 後藤 伸一

授業形態 講義
e-learning利用 その他:
担当形態 単独
関連する授業
当科目履修前に履修して
おくことが望ましい科目
後続関連授業
教職課程科目
テーマ・キーワード 建築技術者の資格・建築士法・建設業法・契約と責任・建築物の事故と災害・資格者の処罰規定・建築紛争・法と倫理・建設倫理と技術者倫理・建築家の職能と責任

授業の概要・ねらい 本科目では特に①建築士法及び建設業法による建築に係る技術者資格を中心に、建築系の学生にとって卒業後に広く実社会での建築に係る業務や研究等に必要となる資格について、その内容、関連する業務、責任、処罰、資格取得方法や相互認証等の概要を学ぶ。さらに②建築技術者全般にとっての職能や技術者倫理について、事故と災害や処分事例、紛争事例などを通して、多様な視点からさまざまな課題を検証し、その対処方法等について実践的に学ぶことで、社会における技術専門職に必要な問題対応能力等の基礎を養う。
今後の社会では企業のコンプライアンスや技術者のプロフェッショナルライアビリティは今日以上に重要となり、履修生が高等教育機関で技術者として「どのような倫理・資格者教育を受けてきたか」ということが、国の内外を問わず世界共通の資格・資源として個人の経歴の中でかなり重要な意味や位置を占めるようになる。これは社会に与える科学技術の影響が過去のどの時代よりも比べようのないほど大きくなったという事情を背景にした技術者に対するいわば「時代の要請」である。
到達目標 以下の内容を全て理解することを学習到達目標とする。
1.建築技術者の資格の概要(資格と業務独占)について理解する。
2.建築士法と建設業法等に見る技術者の資格と業務内容・責任を理解する。
3.建設倫理と技術者倫理について理解し、建築技術者に係る倫理的問題の
対処等について実践的に学ぶ。
4.リスク管理の観点から建築物の事故と災害、処分、紛争について事例等の
  学習を通して、リスクマネジメントについて実践的に学ぶ。
5.建築家の職能・倫理観や技術者観を具体的事例に学ぶ。
教科書と準備するもの 特に指定しないが、講義に使用するPPTノートを適宜配布し、講義時に必要な資料等はすべて配布又は提示する。
参考書 ①「建築紛争から学ぶ設計実務-負けない設計者になるために」日本建築学会編(後藤伸一・仙田満・三栖邦博;他共著) 丸善出版
②「建築士業務の紛争・保険・処分事例」(後藤伸一他;共著)大成出版
③「よくわかる建築の監理業務」(後藤伸一他;共著)大成出版 
④「実務者のための工事監理ガイドラインの手引き」(後藤伸一他;共著)新日本法規
⑤「民間連合協定工事請負契約約款の解説」(後藤伸一他;共著)大成出版社
⑥「前川國男・弟子たちは語る」(後藤伸一他;共著)建築思潮研究社
評価の基準 小レポート(技術者資格及び倫理のテーマ各1回予定)計2回、実践課題(参加型実習)1回、修了考査の成績の計4項目の合計得点で評価する。
具体的評価方法 小レポート(計2回)合計30点、実習課題10点、修了考査60点の配点による合計100点満点で評価する。レポート課題の期限遅れは若干減点する。授業外の予習・復習の成果を確認し、加点する場合がある。なお、履修の可否は修了考査の受験が要件となるので、必ず受験すること。
授業評価アンケート
フィードバック・
受講生へメッセージ
開講初年度なのでまだ授業評価アンケート結果がないが、今後は授業評価アンケート結果をフィーバックして、改善点等があれば出来るだけ講義に反映させていくので、授業評価アンケート提出に際しては講義に対する所要の評価と共に率直かつ積極的な意見等を求める。
単位互換
特記

授業計画
第1回 内容
講義のガイダンス(建築生産の流れと資格者の役割等及び技術者倫理と建設倫理について)  以下の内容を学習する。
①本講義の学習の意義と構成内容、到達目標の確認など講義全体のガイダンスを行う。
②日本の建築生産の流れを理解し、建築生産における資格者の役割、業務内容、責任等について概観する。
③建築技術者が倫理を学ぶ理由、法・倫理・道徳の関係、倫理学習の契機、建築家と職能・倫理学習との係わり等について概観する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 予め本科目のシラバスをよく読み込んで、示されている用語等の中で①意味のよくからないもの②相互の関連性や関係性がよくわからないもの③講義名称から期待する内容との齟齬や内容に不足があると感じるもの等を疑問点としてまとめておく。講義時に各自の疑問点等を確認する場合がある。
授業実施特記 ①講義スケジュールを配布する。②講義はPPTのスライドを使用する。③通常の講義時に使用するもの以外に特に各自持参するものはない。
第2回 内容
法の基礎1(日本の法の体系の理解/法と倫理/公法と私法について/契約とは何か?等)
 以下の内容を学習する。
①法とは何か?法の基礎を学ぶ。②社会の規範としての法と倫理の関係とは。③公法と私法について。④民法と契約について。⑤いくつかの民法の実際の条文を提示する、他。
授業時間外における学修(予習・復習等) 民法の指定条文を提示するので、その条文・条項の持つ意味を調べ、理解しておく。次回以降の講義時に内容を確認する場合がある。
授業実施特記 ①民法の指定条文を提示する。②講義はPPTのスライドを使用する。③通常の講義時に使用するもの以外に特に各自持参するものはない。
第3回 内容
法の基礎2(建築士法/建築士と建築士事務所等)
 以下の内容を学習する。
①資格者法と業務法について。②資格者の業務独占について。③建築士の業務の前提。④建築士事務所とは。⑤建築士法の重要条文の解説と理解、他。
授業時間外における学修(予習・復習等) 講義で示した建築士法の重要条文について、各自、条文全文を書き写し、ノートに整理しておく。次回以降の講義時に内容を確認する場合がある。
授業実施特記 ①講義はPPTのスライドを使用する。②法令集を持っている者は持参する。それ以外は通常の講義時に使用するもの以外に特に持参するものはない。
第4回 内容
法の基礎3(建設業法/施工者の資格と責任・施工管理と品質管理・責任等)
 以下の内容を学習する。
①建設現場の仕事・業務・資格者について。②建設業の許可と施工の資格者。③施工管理と品質管理(ISO9000・ISO14000・QCなど)。④工事請負契約と施工責任。⑤建設業法の重要条文の解説と理解、他。
授業時間外における学修(予習・復習等) ①講義で示した建設業法の重要条文について、各自、条文全文を書き写し、ノートに整理しておく。②品質管理の資料をよく読みこんで理解しておく。次回以降の講義時に内容を確認する場合がある。
授業実施特記 ①品質管理の関連資料を提示する。②講義はPPTのスライドを使用する。③法令集を持っている者は持参する。それ以外は通常の講義時に使用するもの以外に特に持参するものはない。
第5回 内容
工事監理と施工管理(建築士法と建設業法の係わり等) 
 以下の内容を学習する。
①工事監理とは。②監理と工事監理の違い。③工事監理と施工管理の違い。
④工事監理者と施工管理者の資格と具体的な業務内容(工事監理ガイドラインの解説スライド)。⑤工事監理者と施工管理者の責任範囲と契約、他。
授業時間外における学修(予習・復習等) 工事監理に関する設問を配布するので各自解答し内容を確認する。次週に解答内容を確認する場合がある。
授業実施特記 ①工事監理に関する設問を配布する。②講義はPPTのスライドを使用する。③通常の講義時に使用するもの以外に特に各自持参するものはない。
第6回 内容
建築技術者の実務-1(設計と工事監理の業務責任・業務報酬等)
 以下の内容を学習する。
①告示15号による設計と工事監理の標準業務。②設計と工事監理の資格と業務責任。③建築士事務所と業務報酬基準の告示第15号による報酬算定方法。④建築士法による報酬に関する規定。⑤損害賠償責任保険への加入について。⑥小レポート課題第1回出題(テーマは工事監理について。課題詳細は講義時に説明する)、他。
授業時間外における学修(予習・復習等) ①平成21年国土交通省告示15号の標準業務内容を提示するので、各業務内容についてよく理解しておく。次回以降の講義時に内容を確認する場合がある。②必ず第3回目の講義内容を復習する。③小レポート課題について取りまとめの作業を行う。
授業実施特記 ①業務報酬基準の告示第15号を提示する。②講義はPPTのスライドを使用する。③小レポート課題第1回出題。④通常の講義時に使用するもの以外に特に各自持参するものはない。
第7回 内容
建築技術者の実務-2(施工者の業務責任と施工管理等)
 以下の内容を学習する。
①施工責任について。②瑕疵担保責任と住宅品確法・瑕疵担保履行法。③施工管理の実務と責任。④施工現場の資格者(主任技術者と監理技術者) の役割と専任規定。⑤小レポート課題第1回提出、他。
授業時間外における学修(予習・復習等) ①講義時に示した工事現場の施工者の体制や各資格者の業務内容を復習する。②必ず第4回、5回目の講義内容を復習する。
授業実施特記 ①小レポート課題第1回分を提出する。②講義はPPTのスライドを使用する。③通常の講義時に使用するもの以外に特に各自持参するものはない。
第8回 内容
建築技術者の実務-3(建築に係る契約と契約責任等)
 以下の内容を学習する。
①契約とは何か?②契約の当事者について。③契約の効果と契約責任(債務不履行と瑕疵担保責任)について。④設計・工事監理と契約。⑤建築施工と工事請負契約。⑥契約によらない不法行為責任とは?他。
授業時間外における学修(予習・復習等) ①民法の典型契約を提示するので、特に役務提供型の契約について、内容の違いや契約の目的等をよく理解する。次回以降の講義時に内容を確認する場合がある。②必ず第2回目の講義内容をよく復習する。
授業実施特記 ①民法の典型契約を提示する。②講義はPPTのスライドを使用する。③通常の講義時に使用するもの以外に特に各自持参するものはない。
第9回 内容
建築技術者の実務-4(建築に係る事故と処分・事故事例と処分事例等)
 以下の内容を学習する。
①建築物の事故の類型。②事故の発生原因と責任・資格者と事故。③建築物の事故事例。④建築資格者の行政処分と行政罰。⑤建築士の処分事例、他。
授業時間外における学修(予習・復習等) ①建築士の処分区分表を提示するので資格と建築士の処分の関係をよく理解しておく。次回以降の講義時に内容を確認する場合がある。②必ず第6回目の講義内容を復習する。
授業実施特記 ①建築士の処分関連表を提出する。②講義はPPTのスライドを使用する。③法令集を持っている者は持参する。それ以外は通常の講義時に使用するもの以外に特に持参するものはない。
第10回 内容
建築技術者の実務-5(建築に係る紛争と紛争事例等)
 以下の内容を学習する。
①建築紛争とは。②紛争の予防に向けて。③紛争の解決・訴訟とADR。④資格者と建築紛争。⑤講師の裁判所調停委員、専門委員等としての立場から実際の裁判所、ADR機関の紛争事例に基づき、法的判断、責任論等についてみていく、他。
授業時間外における学修(予習・復習等) 具体的な紛争事例について例示するので、そのフォーマットを使って建築紛争の具体的事例につき調査する。次回以降の講義時に内容を確認する場合がある。
授業実施特記 ①紛争事例調査フォーマットを提示する。②講義はPPTのスライドを使用する。③通常の講義時に使用するもの以外に特に各自持参するものはない。
第11回 内容
建築と倫理について1(倫理とは・法と倫理・倫理と倫理学等)
 以下の内容を学習する。
①倫理の何を、何故学ぶのか? ②法と倫理について。③倫理と倫理学。④倫理ディベートの実践について、他。
授業時間外における学修(予習・復習等) 倫理に係る事件等について、新聞記事などを参照して1事例を選び倫理的問題の観点から検討する。内容につき次回以降の講義中に報告を求める場合がある。
授業実施特記 ①講義はPPTのスライドを使用する。②通常の講義時に使用するもの以外に特に各自持参するものはない。
第12回 内容
建築と倫理について2(職業倫理・技術者倫理と職能・予防倫理学習等)
 以下の内容を学習する。
①技術者倫理、建設倫理とは?②倫理規定と倫理綱領について。③技術者の倫理規定/全米専門技術者協会の倫理綱領(NSPE CODE)とは。④日本の建築関連団体の倫理綱領。⑤予防倫理学習とは/線引き問題・創造的中道法など。⑥実践課題(参加型実習)出題、他。
授業時間外における学修(予習・復習等) ①実践課題(参加型実習)について、取りまとめの作業を行う。②NSPE CODEを翻訳しておく。内容につき次回以降の講義中に報告を求める場合がある。
授業実施特記 ①実習課題を出題する。②NSPE CODE(英文)を提示する。③講義はPPTのスライドを使用する。④通常の講義時に使用するもの以外に特に各自持参するものはない。
第13回 内容
建築と倫理について3(倫理学の系譜・応用倫理学等)
 以下の内容を学習する。
①倫理学概論/倫理学の系譜・功利主義とプラグマティズム・正義論など。②現代における倫理(学)と新たな課題。③応用倫理学と技術者の責任。④実践課題(参加型実習)を提出する。⑤小レポート課題第2回出題(テーマは技術者の倫理的責任について。課題詳細は講義時に説明する。⑥実践課題提出、他。
授業時間外における学修(予習・復習等) 小レポート課題について取りまとめの作業を行う。
授業実施特記 ①取り纏めた実践課題(参加型実習)を提出する。②小レポート課題第2回出題。③講義はPPTのスライドを使用する。④通常の講義時に使用するもの以外に特に各自持参するものはない。
第14回 内容
建築家と職能(前川國男の倫理観と技術者観・職能意識等)
 以下の内容を学習する。
①国立西洋美術館、東京海上ビル、東京文化会館、世田谷区役所など、戦後のモダニズム建築を牽引した一人である建築家前川國男らを取り上げ、建築家の信
条、職能観・倫理意識などについて解説する。②小レポート課題第2回を提出する、他。
授業時間外における学修(予習・復習等) 建築家前川國男について、建築家の職能を切り口に、どのような建築家であったのか、その作品と生きざま等をリサーチする。その結果について、各自で感想をメモしておく。次回講義時に報告を求める場合がある。
授業実施特記 ①小レポート課題第2回分の提出。②講義はPPTのスライドを使用する。③通常の講義時に使用するもの以外に特に各自持参するものはない。
第15回 内容
講義のまとめ等
 以下の内容を学習する。
①全講義内容のポイント、重要事項を再度確認し、学習到達目標の達成内容等をすべて確認する。②修了考査の受験に向けて、資料や出題範囲を最終的に確認する。③授業時間外の作業についてまとめて報告を求める場合がある。
授業時間外における学修(予習・復習等) 修了考査に向け、資料を取り纏めて整理し、各自で講義の要点、重要ポイント等のノートやインデックスを作成しておくこと。(定期試験期間中に修了考査を実施する。)
授業実施特記 ①講義はPPTのスライドを使用する。②今まで配布、ダウンロード等により取得した全資料を各自必ず持参する。修了考査を定期試験期間中に実施する。(詳細は講義時に説明する。)
携帯電話、パソコンを除いて全ての資料を持ち込み可とする。