最終更新日:2017/02/03
Syllabus
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概要
対象年度 年度 2017 (週1コマ)通年 開講時限 月3,月4
開講学部・学科等 政経・経営
科目コード 820032000 科目ナンバー
授業名 国史概説
英文授業名 Introduction to Japanese History
担当教員 堀内 暢行

授業形態 講義
e-learning利用 その他:
担当形態 単独
関連する授業
当科目履修前に履修して
おくことが望ましい科目
後続関連授業
教職課程科目 教職に関する科目
テーマ・キーワード 高校社会科教職講義

授業の概要・ねらい  本講義は、社会科教員用の講義である。よって、一つの問題感心を追求し理解するのではなく、日本史を古代から現代まで通観することが求められ、受講生はそれらを網羅的に理解・把握することが到達目標となる。とはいえ、膨大にある歴史事象の全てを把握することはもちろん、講義で扱うことは困難なため、下記の要点に絞り理解を求めることとしたい。
 春期は、前近代を中心に扱う。そのなかで、各時代の支配権力がどのような構造であったのかを概観しつつ、権力の移譲にスポットをあてる。また、そうした諸権力と海外、特に大陸文化がどのような影響力をもったのかを併せて考えてみたい。両者の関係を探求することで、一国史では完結しない豊かな歴史像を理解することを目標とする。
 後期は、近代以降を中心に扱う。そのなかで、開国以降、日本が海外との関係をどのように捉え、政策にうつしていったのかを考えてみたい。これにより、今日の歴史問題の根源を理解するとともに、現代社会における歴史学の位置を把握することを目標とする。
 以上により、社会科教員としての基礎的知識を養成することにつながると考える。受講生には積極的な講義参加を望む。
到達目標 「授業の概要・ねらい」に記した内容を理解し、春期・秋期における両レポートにおいてその内容を盛り込み、作成するようにする。また、各自が自らの考えをもって講義内容を越える程度に理解度を深化させることが望ましい。本授業を通じて社会科教員として日本史に関する基礎的知識を養成する。
教科書と準備するもの 特に指定しないが、すくなくとも高校教科書日本史Bを講義の前に読んでおくことを推奨する。必要に応じてプリントを配布する。
参考書 講義のなかで適宜提示する。
評価の基準 春季レポート・秋季レポート、授業態度で評価する。各期のレポートでは、「授業のねらい・到達目標」に示した内容について、レポートの作成を課す。
具体的評価方法 春季試験・秋季にレポートにて80%、授業態度20%で評価する。
ただし、出席数3分の2以下は評価の対象としない。
授業評価アンケート
フィードバック・
受講生へメッセージ
講義を受講する学生の声として真摯に耳をかたむけ、できる限り結果を盛り込んだ講義となるように努力する。
単位互換
特記

授業計画
第1回 内容
ガイダンス
・シラバスを用いて、本講義の目的や評価について説明する。
第16回 内容
ガイダンス
・近代とはなにか、さらに現代までの連続と断絶について考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) 教職免許の取得を本心から希望するか否かを考えてもらいたい。 授業時間外における学修(予習・復習等) 春期にあつかってきた時代と「近代」とは何が違うのかを予習すること。
授業実施特記 授業実施特記
第2回 内容
現代社会における「歴史学」の位置と諸問題
・今日我々が生きていくなかで「歴史学」はどのように扱われているかを概観し、その意義について考える。
第17回 内容
幕藩体制の崩壊
・幕藩体制終焉の経過と理由を国内的要因と対外的要因を概観しつつ、日本近代への初動について考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) 今日の日本社会で日本史学を学ぶ意義について考え、次回の講義の項目について高校教科書等を用いて予習すること。 授業時間外における学修(予習・復習等) 幕藩体制というものがどのようなものであったのかを復習しつつ、その崩壊にどのような力があったのかを予習すること。
授業実施特記 授業実施特記
第3回 内容
ヤマト政権の統一経過
・古代の国家の範囲と権力構造について考える。
第18回 内容
「黒船」来航と日本社会
・アメリカ提督ペリーが日本に来る状況と幕府側の対応について概観しつつ、その影響について考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) 日本の古代社会の発端と、その背景にある大陸との関係について復習し、その内容が次回の講義で扱う時代ににどのように連続するのかを予習すること。 授業時間外における学修(予習・復習等) これまで語られてきた「黒船」にまつわる問題とその実際を復習し、日本の近代国家成立を予習すること。
授業実施特記 授業実施特記
第4回 内容
律令国家の成立と飛鳥文化の形成
・律令制度がその後の国家権力においてどのような意味をもったのかを考える。
・東アジアとの関係が国家構造にどのような影響力をもったのかを考える。
第19回 内容
近代国家に向けた整備と外交交渉
・明治国家の権力構造の整備過程とその方針について考える。
・前近代までの対外交渉からの変容について概観するとともに、近代国家間における外交の初動について考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) 律令時代の国家と文化の根本にある性格をとらえ、大陸の影響がどのように作用したのかを復習する。その内容が次回の講義で扱う時代にどのように連続するのかを予習すること。 授業時間外における学修(予習・復習等) 近代国家成立経過について前回の講義内容と併せて復習し、前近代までの対外関係と近代国家日本のそれとを比較しその内容を理解できるよう予習すること。
授業実施特記 授業実施特記
第5回 内容
平城京と天平文化
・平城京がどのような経過で成立したのかを概観し、権力構造と民衆について考える。
・権力構造において仏教がどのような位置づけにあったのかを考える。
第20回 内容
日清戦争の時代
・日清戦争開戦までの経緯と東アジア情勢について概観しつつ、日本の対外政策について考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) いわゆる奈良時代の権力構造の特性を認識し、それに対して民衆社会にどのような影響をうけたのか復習する。また、文化と権力の関係についてとらつつ、次回の講義で扱う内容について予習すること。 授業時間外における学修(予習・復習等) 日本の近代国家成立と対外関係を復習し、日本の対外進出について予習する。
授業実施特記 授業実施特記
第6回 内容
平安京の形成と国際交流の変容
・当該期に中国王朝との関係にそれまでになかった形態を見ることができるが、その原因について考える。
第21回 内容
日露戦争の時代
・日露戦争開戦までの経緯と、欧米列強との外交関係を概観しつつ、日本の東アジア政策について考える。
・日本の日露戦争の狙いとその結果・意義について考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) これまでの中国王朝との関係にある特性を復習し、今回の講義内容における概関係を復習する。また、日本社会の転換期となる次回の講義内容について予習すること。 授業時間外における学修(予習・復習等) 近代日本と東アジアを中心とした国際関係について理解し、二つの戦争の結果について復習すること。また、日本を取り巻く国際関係について予習すること。
授業実施特記 授業実施特記
第7回 内容
武士の台頭と日宋貿易
・武士が創出されるが、そもそも武士とはなんだったのかということについて、彼らを取り巻く社会や朝廷との関係から考える。
・日宋貿易とその日本社会への影響について考える。
第22回 内容
第一次世界大戦と日本
・第一次大戦に参戦するまでの日本の動向と参戦後の日本の戦略を概観しつつ、日本の狙いと結果について考える。
・欧米列強の対外政策論の変容と日本の動向について比較検討する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 武士が台頭する時代以前とその後を比較し、その変転を理解するよう復習すること。また、武士が誕生したことで大陸との関係がどのように変転したのかを予習すること。 授業時間外における学修(予習・復習等) 第一次大戦の特性と日本の参戦外交について復習すること。特に、大戦中の東アジア情勢と欧州の差異について重点的に復習すること。また、その結果、国際関係において日本がどのような立ち位置となったのかを予習すること。
授業実施特記 授業実施特記
第8回 内容
鎌倉幕府と蒙古襲来
・日本史上はじめての武士政権が誕生するが、その形成過程と権力構造について考える。
・大陸からの襲撃を受けることとなった経緯とその闘争形態の考察を通して、外国との関係について考える。
第23回 内容
大正デモクラシーとワシントン体制
・自由、国際主義の時代といわれた当該期の日本内政の実態と対外関係について考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) 武士が誕生した経緯から権力構造・大陸との関係に影響をおよぼしたことを復習し、鎌倉幕府の特性を理解しつつ、室町幕府への転換を予習すること。 授業時間外における学修(予習・復習等) 第一次大戦後の国際社会の潮流と日本国内の状況を比較して理解できるよう復習しつつ、満洲事変までの連続性について予習すること。
授業実施特記 授業実施特記
第9回 内容
室町幕府の成立と日明貿易の展開
・鎌倉政権からの権力移譲がどのように進んだのかを考察しつつ、前政権の権力構造との断絶と連続について考える。
・それまでの大陸との貿易関係との変容について考える。
第24回 内容
満洲事変と国際社会の変容
・満洲事変勃発までの経緯とその後の日本を取り巻く国際社会の変容について概観し、満洲事変の歴史的意義について考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) 鎌倉幕府と室町幕府の連続と断絶を復習しつつ、室町幕府の大陸との関係とその国内的影響について予習すること。 授業時間外における学修(予習・復習等) 満洲事変の意味とその経緯について、日本国内・東アジア世界・国際社会を包括して考えられるように復習し、その結果、日本がどのような国際状況のなかで対外進出を強めていくのかを予習すること。
授業実施特記 授業実施特記
第10回 内容
室町文化の形成と特質
・室町文化の内容を概観しつつ、政治権力における位置付けについて考える。
第25回 内容
日中戦争と銃後
・日本の国際連盟脱退後の対外政策、特に対東アジア政策を概観しつつ、日中戦争勃発までの経緯について考える。
・戦場と銃後の意識の格差について考える。
・日本の対中国観測について概観する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 室町幕府の対大陸政策とその国内的影響について復習し、大陸・世界的変動について予習すること。 授業時間外における学修(予習・復習等) 満洲事変から日中戦争への経過を理解できるよう復習し、当時の国際関係について予習すること。
授業実施特記 授業実施特記
第11回 内容
大航海時代と東アジア世界
・それまでの海外交流のほとんどが東アジア世界との限定的交流であったのに対し、欧州世界との接点を持つにいたった状況を考える。
第26回 内容
開戦外交
・アジア・太平洋戦争に至る経緯を第二次近衛内閣期から概観し、戦争に至る原因について考える。
・戦争の経過について概観する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 世界変動とそれらが日本にどのような影響をおよぼしたのかを復習し、戦国時代における国際交流について予習すること。 授業時間外における学修(予習・復習等) アジア・太平洋戦争開戦までの経過について復習し、戦争がどのような影響をおよぼしたのかについて様々な面からとらえられるよう予習すること。
授業実施特記 授業実施特記
第12回 内容
戦国大名の国際交流
・戦国時代の主役である、各大名が海外との交流のなかで何を得たのか、さらに何を求めたのかを考える。
・各大名間にどのような外交関係があったのかを考える。
第27回 内容
アジア・太平洋戦争と戦争裁判
・日本政府はどのように敗戦を決定したのかを考える。
・戦争裁判の同時代史的意義について考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) 戦国大名の本質と彼らの大名間・国際的交流について復習し、その後の大陸関与の変転への連続について予習すること。 授業時間外における学修(予習・復習等) アジア・太平洋戦争に関する言説とその実相についてとらえられるよう復習し、敗戦国日本が占領期をどのようにむかえたのかについて予習すること。
授業実施特記 授業実施特記
第13回 内容
豊臣政権の海外進出
・豊臣秀吉はなぜ朝鮮出兵をおこなったのか、その経緯を概観しつつ、秀吉の対外戦略と国内統制について考える。
第28回 内容
占領と戦後社会
・日本の現代政治・社会を考えつつ、米国主導の占領政策について概観する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 豊臣政権が大陸に何を目指したのかを復習し、次代における対外策の転換への連続について予習すること。 授業時間外における学修(予習・復習等) 占領政策のねらいとその結果について復習するととともに、その際の日本国内の政治経過をとらえ、次代にどのように推移していったのかを予習すること。
授業実施特記 授業実施特記
第14回 内容
幕藩体制の成立と「鎖国」
・徳川氏がどのような権力構造を形成したのかを概観し、約260年におよぶ長期権力をつくり上げた要因を考える。
・「鎖国」とはなんだったのかを考える。
第29回 内容
冷戦と経済成長
・冷戦期の日本の対外政策と経済成長を関連づけて時系列的に概観し、当該期の日本を取り巻く国際社会について考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) 鎖国の意味とその狙いについて復習し、対外関係と幕藩体制の権力維持への影響について考えること。 授業時間外における学修(予習・復習等) 冷戦が日本の政治・経済・外交にどのように影響したのかを復習すること。
授業実施特記 授業実施特記
第15回 内容
総括
・古代日本から徳川政権までの権力構造とその移譲、さらに外国との関係について総括する。
第30回 内容
総括
・これまで講義で確認・考察したことを総括し、今日の社会における「歴史学」の扱い方について再考する。
授業時間外における学修(予習・復習等) これまであつかってきた時代における権力構造の変転と対外関係の国内的影響の経緯を自分の言葉で説明できるまで復習すること。 授業時間外における学修(予習・復習等) 日本の近代史が今日の日本社会にどのように影響しているのか、さらに、それをどのように生かすべきなのかを自らの言葉で語ることができるよう復習すること。
授業実施特記 授業実施特記