最終更新日:2017/02/17
Syllabus
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概要
対象年度 年度 2017 (週1コマ)秋期 開講時限 木2
開講学部・学科等
科目コード 674405100 科目ナンバー
授業名 日本近代文学・文化論ⅠB
英文授業名 Modern Japanese Literature and Culture ⅠB
担当教員 中島 礼子

授業形態 講義
e-learning利用 その他:
担当形態 単独
関連する授業
当科目履修前に履修して
おくことが望ましい科目
日本近代文学・文化論ⅠA、日本近代文学・文化論ⅠB
後続関連授業
教職課程科目 教科に関する科目
テーマ・キーワード 「性の二重基準」 女性の職業

授業の概要・ねらい 近代文化の諸相―女性における「性の二重基準」と職業。明治・大正の文学作品を読み解く際に、念頭に置いておかねばならないのは、当時の女性を妻と娼婦に二分する「性の二重基準」である。国木田独歩「二少女」、樋口一葉「にごりえ」をとおして「性の二重基準」がどのように描かれているか、文学作品における意味を考察・説明するとともに、国木田独歩「二少女」から女性の職業の問題、とくに電話交換手について考察・説明する。明治・大正期と今日の女性の置かれた状況等について、その違いと歴史的経過を理解し、説明できるようにすることをねらいとする。
到達目標 明治期の女性の職業について説明できる。
とくに、明治初期の電話交換手の同時代における位置づけ・報酬などについて説明できる。
妾について、新律綱領や同時代の認識、公娼制度との関連などについて説明できる。
「二少女」における電話交換手・主人公の祖母の発言についての背景を説明できる。
教科書と準備するもの 国木田独歩「二少女」についてはプリントを配布する。
樋口一葉『たけくらべ』(集英社)325円+税
参考書 講義の進行とともに随時紹介する。
評価の基準 明治期の女性の職業について説明できる。
とくに、明治初期の電話交換手の同時代における位置づけ・報酬などについて説明できる。
妾について、新律綱領や同時代の認識、公娼制度との関連などについて説明できる。
「二少女」における電話交換手・主人公の祖母の発言についての背景を説明できる。
具体的評価方法 評価の基準に示した事柄を十分に達成しているかどうかをレポート・授業内での発言内容で評価する。成績の評価はレポート80%、平常点20%で評価する。
平常点には、授業内での発言内容、受講態度等を総合的に判断する。
授業評価アンケート
フィードバック・
受講生へメッセージ
学生が理解できるように、丁寧な説明を心がける。
単位互換
特記

授業計画
第1回 内容
授業の内容についての説明と受講に際しての諸注意
女性における「性の二重基準」と明治期女性の職業
授業時間外における学修(予習・復習等) 今日における女性の置かれた状況、とくに性と職業について考える。(予習)(所要時間90分)
女性における「性の二重基準」と明治期女性の職業についてこれまで自分が読んだ作品について考えてみる。(復習)(所要時間90分)
授業実施特記
第2回 内容
国木田独歩「二少女」を読み、内容把握をする。
「二少女」には、明治期文明開化の職業である電話交換手の報酬だけでは家族を養えないので、孤児の女主人公に祖母が妾になることを暗に勧め、電話局の同僚も孤児の女主人公が妾になったのではないかという噂をするという内容が描かれている。
この作品の問題点を把握。
授業時間外における学修(予習・復習等) 国木田独歩「二少女」を読み、予め作品内容を知る。(予習)(所要時間90分)
国木田独歩「二少女」における職業と妾について問題点を整理し、確認する。(復習)(所要時間90分)
授業実施特記
第3回 内容
女性の職業
電話交換手という職業が明治期の社会ではどのようなものであり、女性が働くということは社会のなかでどのような位置づけであったのか。また、明治期において女性の職業と呼べるものにどのようなものがあったのかについて、当時の資料から考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) 明治期における女性の職業について調べる。(予習)(所要時間90分)
国木田独歩「二少女」において、電話交換手の設定が当時の時代において持つ意味について考え、まとめる。(復習)(所要時間90分)
授業実施特記
第4回 内容
女性における「性の二重基準」
なぜ女主人公の祖母が「妾々ツて世間で大変悪く云ふが芸者なんかと比較ると幾何いゝか知れない、一人の男を旦那にするのだかつて」と言ったのか。その発言を同時代の歴史的経緯から考察。公娼制度。
授業時間外における学修(予習・復習等) 明治期における妾と公娼制度について調べる。(予習)(所要時間90分)
国木田独歩「二少女」における女主人公の祖母の発言について、新律綱領や妾についての同時代の認識、公娼制度との関連についてまとめる。(復習)(所要時間90分)
授業実施特記
第5回 内容
明治の日刊紙「万朝報」に連載された「弊風一般 畜妾の実例」を取り上げ、解説。
その記事に対しての反響。とくに「女学雑誌」の記事。
授業時間外における学修(予習・復習等) 明治期における妾についての報道を調べる。(予習)(所要時間90分)
授業で学んだことをもとに、当時の人々の妾に対する意識を整理する。(復習)(所要時間90分)
授業実施特記
第6回 内容
国木田独歩「二少女」と「女学雑誌」「万朝報」との違い。
「二少女」における女性の職業と「性の二重基準」についての総合的な考察。

授業時間外における学修(予習・復習等) 国木田独歩「二少女」における国木田独歩の問題意識について考えてみる。(予習)(所要時間90分)
「二少女」における女性の職業と「性の二重基準」について、自分なりの考えをまとめる。(復習)(所要時間90分)
授業実施特記
第7回 内容
女性における「性の二重基準」
樋口一葉「にごりえ」には、銘酒屋で働くお力と、お力に入れあげ零落した源七の女房お初に「性の二重基準」を見ることができる。「にごりえ」においてそれがどのようにあらわれているのかを「にごりえ」を細かく読んでいき、考察することについての説明。
樋口一葉がなぜ「にごりえ」を創作できたかについての説明。

授業時間外における学修(予習・復習等) 樋口一葉の文学活動・文学について調べる。(予習)(所要時間90分)
樋口一葉「にごりえ」について理解したことをまとめる。(復習(所要時間90分))
授業実施特記
第8回 内容
テキストの「梗概」、山田有策「解説―深層の近代・女成りけるもの」により、樋口一葉についての予備知識を持つ。
授業時間外における学修(予習・復習等) あらかじめ山田有策「解説―深層の近代・女成りけるもの」を読み、樋口一葉についての理解を深める。(予習)(所要時間90分)
樋口一葉について書かれたものを読み、さらに理解を深める。(復習)(所要時間90分)
授業実施特記
第9回 内容
樋口一葉「にごりえ」(一)(二)を読み解き、女性における「性の二重基準」の視点から考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) あらかじめ樋口一葉「にごりえ」(一)(二)を読み、内容把握につとめる。(予習)(所要時間90分)
登場人物の性格・心情や登場人物相互の関係など、「性の二重基準」の視点から整理してみる。(復習)(所要時間90分)
授業実施特記
第10回 内容
樋口一葉「にごりえ」(三)(四)を読み解き、女性における「性の二重基準」の視点から考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) あらかじめ樋口一葉「にごりえ」(三)(四)を読み、内容把握につとめる。(予習)(所要時間90分)
登場人物の性格・心情や登場人物相互の関係など、「性の二重基準」の視点から整理してみる。(復習)(所要時間90分)
授業実施特記
第11回 内容
樋口一葉「にごりえ」(五)(六)を読み解き、女性における「性の二重基準」の視点から考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) あらかじめ樋口一葉「にごりえ」(五)(六)を読み、内容把握につとめる。(予習)(所要時間90分)
登場人物の性格・心情や登場人物相互の関係など、「性の二重基準」の視点から整理してみる。(復習)(所要時間90分)
授業実施特記
第12回 内容
樋口一葉「にごりえ」」(七)(八)を読み解き、女性における「性の二重基準」の視点から考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) あらかじめ樋口一葉「にごりえ」(七)(八)を読み、内容把握につとめる。(予習)(所要時間90分)
登場人物の性格・心情や登場人物相互の関係など、「性の二重基準」の視点から整理してみる。(復習)(所要時間90分)
授業実施特記
第13回 内容
樋口一葉「にごりえ」を明治の時代相の中でどのようにとらえるか。どのように考えるか。それが「性の二重基準」とどのように関わるかについて考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) 樋口一葉「にごりえ」を(一)から(八)まで通して精読し、「性の二重基準」「職業」の観点から考えてみる。(予習)(所要時間90分)
「にごりえ」を明治の時代相の中で「性の二重基準」「職業」の観点からまとめてみる。(復習)(所要時間90分)
授業実施特記
第14回 内容
「にごりえ」における「性の二重基準」について受講者が理解したことについて感想・意見を述べる。
授業時間外における学修(予習・復習等) 明治における「性の二重基準」「職業」と今日を比較し、そこから問題点を取り出してみる。(予習)(所要時間90分)
受講生の感想・意見を踏まえ、さらに自分の考えを深める。(復習)(所要時間90分)
授業実施特記
第15回 内容
明治期における「性の二重基準」と女性の職業について、「二少女」「にごりえ」から総合的に考察する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 明治期における「性の二重基準」と女性の職業の視点から「二少女」「にごりえ」において何が問題なのかについて考えてみる。(予習)(所要時間90分)
授業を踏まえて、明治期における「性の二重基準」と女性の職業の視点から「二少女」「にごりえ」における問題点をまとめる。(復習)(所要時間90分)
授業実施特記