| 授業の概要・ねらい |
本講義では、民法第4編で定められる親族法および第5編で定められる相続法について基礎的な知識を修得し、民法でどのように親子関係や相続関係を規定しているのかを理解することがねらいである。すでに親族法・相続法Aを履修していることを前提に、親族法中親子関係を中心に講義し、後半は相続法の基礎的な講義を行う。具体的な内容は、親族法については親子関係（嫡出子と非嫡出子）、養子関係（普通養子と特別養子）、扶養、親権であり、相続法については相続人と相続分、代襲相続、相続の範囲、遺産分割、相続の承認と放棄、遺言、遺留分などである。これら各制度の沿革を紹介したうえで、条文の解釈、判例の動向、学説の展開、さらには比較方的考察を加えて検討する。 |
| 到達目標 |
①法的親子関係の成立要件を、自然の親子と養子縁組による親子に分けて説明することができる。
②親権の概要を説明することができる。
③私法上の扶養の権利義務について説明することができる。
④法定相続の場合の相続人と相続分を、いかなる場合においても説明することができる。
⑤遺産の範囲および相続の承認と放棄について、判例を踏まえて説明することができる。
⑥遺言と遺留分について、概要を説明することができる。 |
| 教科書と準備するもの |
前田陽一＝本山敦＝浦野由紀子著『民法Ⅵ――親族・相続〔第3版〕』（有斐閣、2015年）〔2,700円＋税〕
講義前にmanabaでレジュメをダウンロードし、必ず持参すること。レジュメは講義の前後3-4週間公開されるが、公開期限を過ぎるとダウンロードできなくなるので、注意すること。 |
| 参考書 |
水野紀子＝大村敦志編『民法判例百選Ⅲ親族・相続』（有斐閣、2015年）〔2,100円＋税〕 |
| 評価の基準 |
①法的親子関係について自然の親子関係および養子縁組による親子関係ともに理解できている。
②親権の概要が理解できている。
③私法上の扶養の権利義務について理解できている。
④法定相続の場合の相続人と相続分を理解できている。
⑤遺産の範囲および相続の承認と放棄について理解できている。
⑥遺言と遺留分について理解できている。 |
| 具体的評価方法 |
春期定期試験（80％）、manaba上の小テスト（10％）、授業中の態度および勉学意欲（10％）で評価する。 |
| 第1回 |
内容
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Ⅰ 実子（その1）
親子の意義と沿革、実子とは、嫡出推定制度、推定されない嫡出子
民法772～778条 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
（予習）教科書120～125頁まで読み、manabaで親子表をダウンロードして親子の全体像をつかんでおくこと。
（復習）嫡出推定における2つの推定を整理する。嫡出性を否定するにはどうしたらよいのかを整理する。推定される嫡出子と推定されない嫡出子でどのような違いがあるのかを整理する。 |
| 授業実施特記 |
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| 第2回 |
内容
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Ⅵ 実子（その2）
推定の及ばない嫡出子、虚偽の嫡出子出生届
民法772～778条 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
（予習）教科書125～132頁まで読んでおくこと。
（復習）推定の及ばない嫡出子に関する平成26年の最高裁判所判例が何を判示したのかを整理する。推定の及ばない嫡出子に関する学説を整理する。 |
| 授業実施特記 |
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| 第3回 |
内容
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Ⅰ 実子（その3）
認知（母の認知と父の認知）、準正、非嫡出子の差別問題
民法779～789条 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
（予習）教科書132～143頁まで読んでおくこと。
（復習）2つの認知方法について整理する。非嫡出親子関係について、母の場合と父の場合に分けて整理をする。準正とは何かを答えられるように整理する。非嫡出子の差別問題について、判例の推移を整理 |
| 授業実施特記 |
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| 第4回 |
内容
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Ⅰ 実子（その4）
生殖補助医療により生まれた子 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
（予習）教科書144～147頁まで読んでおくこと。
（復習）生殖補助医療により生まれた子に関する判例と問題点について整理をする。 |
| 授業実施特記 |
manaba上で小テスト（実親子関係）を実施する。 |
| 第5回 |
内容
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Ⅱ 養子（その1）
養子縁組制度、普通養子縁組
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| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
（予習）教科書147～158頁まで読んでおくこと。
（復習）養子制度の変遷を整理し、普通養子縁組の特徴と成立要件を整理する。 |
| 授業実施特記 |
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| 第6回 |
内容
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Ⅱ 養子（その2）
特別養子縁組 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
（予習）教科書158～165頁を読んでおくこと。
（復習）普通養子縁組と特別養子縁組の違いを整理する。特別養子縁組の要件を整理する。 |
| 授業実施特記 |
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| 第7回 |
内容
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Ⅲ 親権
親権制度、親権の内容、利益相反行為、親権喪失と親権停止
民法818～837条
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| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
（予習）教科書165～185頁を読んでおくこと。
（復習）場合分けをして誰が親権者になるのかを整理する。親権喪失と停止の違いを整理する。（後見・保佐・補助は、民法総則の講義に譲る）
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| 授業実施特記 |
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| 第8回 |
内容
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Ⅳ 扶養
扶養の権利義務の性質、生活保持義務と生活扶助義務、親族扶養の扶養義務者
民法877～881条
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| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
（予習）教科書207～215頁を読んでおくこと。
（復習）私的扶養の構造を捉え、生活保持義務と生活扶助義務の内容を整理する。 |
| 授業実施特記 |
manaba上で小テスト（養子縁組・親権・扶養）を実施する。 |
| 第9回 |
内容
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Ⅴ 相続（その1）
相続法の変遷、現行相続法の特徴、相続の根拠、相続法の構造、相続の開始
民法882、896～899、951～959条
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| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
（予習）教科書218～230頁を読んでおくこと。
（復習）戦前の明治民法と戦後の現行民法における相続法の違いを整理する。ある人が死亡した場合の財産の承継の流れを整理する。 |
| 授業実施特記 |
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| 第10回 |
内容
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Ⅴ 相続（その2）
相続人と相続分、代襲相続
民法886～890、900条
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| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
（予習）教科書231～241頁、279～286頁を読んでおくこと。
（復習）ある人が死亡した場合、誰がどれだけの割合で相続するかを整理する。代襲相続について整理する。
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| 授業実施特記 |
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| 第11回 |
内容
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Ⅴ 相続（その3）
相続欠格と廃除、相続の承認と放棄
民法891～895、900条
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| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
（予習）教科書241～259頁を読んでおくこと。
（復習）相続欠格と廃除の違いを整理する。相続の承認と放棄について、各要件を整理する。
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| 授業実施特記 |
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| 第12回 |
内容
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Ⅴ 相続（その4）
相続の対象
民法896～899条
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| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
（予習）教科書260～278頁を読んでおくこと。
（復習）相続の対象となる財産とならない財産を整理する。 |
| 授業実施特記 |
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| 第13回 |
内容
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Ⅴ 相続（その5）
特別受益と寄与分・相続回復請求権
民法903～905、884条
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| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
（予習）教科書287～299、336～344頁を読んでおくこと。
（復習）共同相続人間の平等を図る制度について整理する。
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| 授業実施特記 |
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| 第14回 |
内容
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Ⅴ 相続（その6）
遺産の共有と遺産分割
民法898、906～914条
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| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
（予習）教科書300～335頁を読んでおくこと。
（復習）遺産の共有に関する共有説と合有説を整理する。遺産分割の方法を整理する。
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| 授業実施特記 |
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| 第15回 |
内容
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Ⅵ 遺言と遺留分
遺言の方式、遺言の解釈、遺言の無効と取消し
民法960～1027条
遺留分制度の意義、遺留分減殺請求権
民法1028～1044条 |
| 授業時間外における学修（予習・復習等） |
（予習）教科書357～428頁を読んでおくこと。
（復習）遺言の方式の全体像を把握し、自筆証書遺言と公正証書遺言の要件を整理する。遺留分の意義について整理する。
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| 授業実施特記 |
定期試験直前に、manaba上で小テスト（相続と遺言）を実施する。 |