最終更新日:2017/02/21
Syllabus計測工学
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概要
対象年度 年度 2017 (週1コマ)秋期 開講時限 火2
開講学部・学科等 理工
科目コード 645002600 科目ナンバー SEM03790
授業名 計測工学
英文授業名 Instrumentation Technology
担当教員 関 一夫

授業形態 講義
e-learning利用 その他:
担当形態 単独
関連する授業
当科目履修前に履修して
おくことが望ましい科目
後続関連授業
教職課程科目
テーマ・キーワード 計測

授業の概要・ねらい これから社会に出て君たちが取組む物造りやサービスの仕事、身体の健康管理や治療など、多くの分野で計測とこれを利用した制御が使われている。電子体温計や自動車、飛行機、ロケット、宇宙ステーション、はやぶさ、環境保全等、計測・制御されていないものを見つけることが難しいほどである。
 加えて安全も計測の一部である。計測原理を良く知ることは、安全な計測には欠かせない。
 多くの分野で使われている計測と制御は、センサの計測データと制御の目標値との差異を、無くすように動作させる。
 救急など緊急時の身体の状態の計測には、早く正確で安全な計測が求められる。
 センサで何かを計測しようとするとき、熱や流体の流れなどを簡単でやさしい物理現象に分けて理解できていれば、高度で高精度を要求する計測でも、正しい計測結果を速やかに提供できる。
 センサによる計測では、その場に応じた工夫を求められることも多い。
物理現象を単純化し、やさしく理解する能力が身に付くと、安全で技術者倫理にもかなった計測方法が可能となり、社会貢献できる能力を身につけたことにもなる。
 高い精度を要求する分野でも、やさしい物理現象に分けて捉える能力が付くことは、大きなメリットである。単位を使いこなせることも大切である。
 講義や、実物サンプル、工場見学などを通して、測定対象をシンプルな物理現象に分けて理解し実践する能力を鍛えてもらいたい。
計測工学の進歩から、測定データを様々な方法で加工したものを用いるようになってきている。どのような方法で計測するかという原理を知れば、正しく計測できる。誤りに気付かずに計測データを求めたりすることなく、データ処理の誤りに、気付くこともできる。原理をしっかり理解すれば、つまらない誤りに陥ることがないようにできる。
優れたものが世に出てくるときには、新たに計測方法が開発されていることが多い。計測することが必要な対象が現れたとき、どのように準備して計測するか、どの計測方法を選択するか。基礎知識を持ってもらい、将来の新たな挑戦にも活用できる人材に育てたい。
 宇宙から人の健康まで、
機械、電子、建築、都市ランドスケープ系などはもとより、健康医工や基礎理学にも応用可能な広い計測工学を目指す。
以上。
到達目標 計測において、精度や計測原理について理解し、新しい計測デバイスに出会ったとき、その計測原理を解説できること。計測対象に出会ったとき、適する計測デバイスの選択範囲を絞る手順を理解すること。
教科書と準備するもの 教科書はプリントを配布する。
参考書 参考書は講義の中で伝える。
評価の基準 温度、流量、圧力、長さなどの計測原理を理解していること。

具体的評価方法 レポート:40 %
試験:60 %
レポート(小レポートを含む)、
試験(講義中の小試験に出席すれば年度末の大試験に変えることを検討する)
授業評価アンケート
フィードバック・
受講生へメッセージ
単位互換
特記

授業計画
第1回 内容
計測とは:  現代社会で、計測や制御に関わらないで仕事や生活を送ることは不可能であると言ってよい。計測の役割や効果、測定上の課題について示す。
授業時間外における学修(予習・復習等) 計測の役割や効果について復習し、次回の単位について主に予習する。
授業実施特記
第2回 内容
単位と精度:  計測にとって、単位と数値は不可欠のものである。世界では様々な単位が使われてきたが、国際標準として、SI単位に統一された。また計測値は数値で表すが、実際に作られたものはバラツキを持っている。このバラツキを示す標準偏差についても示す。
授業時間外における学修(予習・復習等) 標準偏差について復習し、次回の単位について主に予習する。
授業実施特記
第3回 内容
センサの基本原理:  計測対象から情報をデータしてとらえるのがセンサである。計測には誤差やバラツキが含まれる。これらの中から正しい値を計測する処理をして計測値とする。統計によって処理されるわけであるが、実験計画法の中身に触って概念の意味を知ることが重要である。
授業時間外における学修(予習・復習等) 実験計画法について復習し、次回の単位について主に予習する。
授業実施特記
第4回 内容
計測と制御:  センサで計測されたデータは制御装置に検出値として捉ええられ、目標値との差異や差異の変化を用いて演算され、結果が操作量として出力される。これが制御である。制御にはON-OFF制御,時間比例制御,連続比例制御,位置比例制御,PID制御など様々な方法がある。制御方法によってできるオフセットなどの誤差や、遅れや静定時間など,制御結果が出るまでには時間が必要である。このことも制御には影響する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 計測と制御について復習し、次回の単位について主に予習する。
授業実施特記
第5回 内容
計測と安全:  信頼性の高い安定した状態に制御するためには、制御装置が壊れたときに、安全な方向に向かわせるリミットなどの手段が必要であり、フェールセーフも求められる。常に安定な動作のためにはメンテナンスが不可欠である。国際規格として標準化されつつあるが、本質安全・フェールセーフの概念を知ることは、安全の基礎を知ることである。これらは技術者が守るべき技術者倫理にもつながる。
授業時間外における学修(予習・復習等) 計測と安全、技術者倫理について復習し、次回の単位について主に予習する。
授業実施特記
第6回 内容
温度計測センサ:  温度制御に使われる温度計測は、永い歴史を持っている。熱電対,サーモパイル,測温抵抗体,サーミスタ・放射温度計など様々な方法があり、用途によって使い分けられている。室内空間の温度のようなシステム制御では、窓際などのペリメータ・ゾーンを考慮したり、人間の皮膚が感ずる条件を持ち込んだ快適度センサなどが有効である。
授業時間外における学修(予習・復習等) 温度計測について復習し、次回の単位について主に予習する。
授業実施特記
第7回 内容
非接触温度計測:  主に熱放射を利用するセンサによる計測である,赤外線センサ,焦電型センサ,(2色)放射温度計,光高温計などがある。温度計測には理論式で示される関係がある。伝導・対流・放射のような伝熱方法に起因する誤差が温度計測誤差となる。
授業時間外における学修(予習・復習等) 非接触温度計測について復習し、次回の単位について主に予習する。
授業実施特記
第8回 内容
湿度計測:  湿度計測は誤差要因の多い計測である。水分と温度の関係の物理量を用いた乾湿球湿度計による計測,吸水率による伸び量の変化を用いた計測,セルロースやセラミックスなどのインピーダンス変化を用いた計測などがある。露点を利用して湿度計測精度を高めたもので小型化が可能となり普及し始めている。JIS/日本工業規格の事例からも計測の役割を知ることができる。
授業時間外における学修(予習・復習等) 湿度計測について復習し、次回の単位について主に予習する。
授業実施特記
第9回 内容
光による計測:  光計測は原理的にも距離を保つ計測が必要な場合の測定に適用される。火炎検出のように非接触で,しかもC波の紫外線だけを検出対象とすることで太陽光線に感度を持たないセンサとして使えるメリットがある。周波数計測やレーザ光の発光と受光による計測,光導電素子やフォトダイオードによる抵抗変化の計測,半導体の光電効果による起電力計測,光電管や光増倍管による光電効果の電流計測などがある。
授業時間外における学修(予習・復習等) 光による計測について復習し、次回の単位について主に予習する。
授業実施特記
第10回 内容
圧力の計測:  圧力の計測は温度計測同様に永い歴史を持っている。差圧式圧力計や(傾斜)マノメータなどの機械式(微)圧力計や,圧力ピックアップの原理を用いた計測センサ,これに単結晶シリコンのダイアフラムを適用した計測センサ,シリコンセンサ,感圧センサ,感圧塗料,感圧導電性エラストマー,光ファイバー・フィルムセンサなどによる圧力計測,また真空計測では電離真空計.ガイスラー管,ピラニー真空計などの各種真空計による計測がある。
授業時間外における学修(予習・復習等) 圧力の計測について復習し、次回の単位について主に予習する。
授業実施特記
第11回 内容
流速・流量の計測:  オリフィスなどの絞りを使いベルヌーイの定理を使った,従来型の差圧式圧力計を用いた流量計測,これに圧力や温度の補正演算を加えて質量流量計測が可能となっている,一方で原理的に直接質量流量を計測できるコロオリ流量計による計測精度の向上が図られている。またピトー管や熱線式を用いた部分計測やマイクロマシーン技術を用い肉厚1ミクロンのダイアフラムによって1秒間に1センチメートルという微風速が測定可能となっている現状など、実物に触れることも含め,新たな分野が開かれつつある。
授業時間外における学修(予習・復習等) 流量計測について復習し、次回の単位について主に予習する。
授業実施特記
第12回 内容
DNA・遺伝子などの計測:  新しく生科学の分野に計測技術が持ち込まれている。マイクロ・マシンニング技術の実用化などのような微細加工技術の進歩で生体の様々な計測が可能となりつつある。小型カメラなどによって、開腹手術を行わずに容易に身体の内部に入り細胞の一部の計測を行うことが可能となってきている。DNAの違いを計測することも可能となっている。
授業時間外における学修(予習・復習等) 遺伝子などの計測について復習し、次回の単位について主に予習する。
授業実施特記
第13回 内容
診断計測( 音響診断)・ソフトセンサ:  計測を診断技術に応用する分野もマイクロ・コンピュータの発達によって可能となっている。パラボラの曲面で一定方向の音波を収集し,この音を周波数分析することで,故障や故障予知の診断を行おうとする計測が実用化されている。また、難しい分析技術のために1週間以上も掛かる分析を直接行わずに,多数の他のデータを用いて対象とする物質の排出量を即座に推定する技術など計測の新たな分野が開かれつつある。
授業時間外における学修(予習・復習等) 診断計測について復習し、次回の単位について主に予習する。
授業実施特記
第14回 内容
計測とリスクアセスメント:  チェルノブイリの原子力発電所の事故など,リスク分析が不十分であった場合には、計測結果が十分活かされない結果になる可能性がある。計測を行う場合もリスクアセスメントを十分行い,許容できるリスクまで低減することを、設計の初期段階から行うことが必要である。技術者倫理を大切にするだけでなく、ISO国際規格を知って常に応用することが技術者に求められている。技術者にとっても安全なものを世の中に送り出す拠り所となる。
授業時間外における学修(予習・復習等) 計測とリスクアセスメントについて復習し、次回の単位について主に予習する。
授業実施特記
第15回 内容
まとめ:  計測は単に長さ等を測るだけのものではなく,リスクを許容できるまで低減させ安全なものであることを計測したり確認したりする役割を担っている。また、計測・制御と,安全を司るリミット機器は分離し,メンテナンスを確実に定期的に行うことが、計測にとっても安全にとっても必要である。
授業時間外における学修(予習・復習等) 計測のまとめについて復習する。
授業実施特記