最終更新日:2017/02/08
Syllabus
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概要
対象年度 年度 2017 (週1コマ)秋期 開講時限 水4
開講学部・学科等 政経
科目コード 632042000 科目ナンバー
授業名 国際情報論
英文授業名 Globalization and Role of Information
担当教員 砂田 薫

授業形態 講義
e-learning利用 その他:
担当形態
関連する授業
当科目履修前に履修して
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後続関連授業
教職課程科目
テーマ・キーワード

授業の概要・ねらい 20世紀は全世界の多くの国で工業化が進み、経済が成長した時代である。日本は第二次世界大戦後の20世紀後半、製造業を中心とする工業の発展で、世界でも稀に見る経済の急成長を果たした。しかし、20世紀の終わりから21世紀にかけて、先進諸国では脱工業化が進み、時代は情報社会へと大きく転換している。21世紀の情報社会においては、経済社会の編成原理が工業社会とは大きく変化する。とくに近年は、ビッグデータ、IoT(Internet of Things)、人工知能、ロボットの開発や普及によって「第四次産業革命」が世界的に進行しつつある。
本授業では、このようなグローバルかつ歴史的な視点から、現在の情報社会の動向を理解すると同時に、情報通信技術と経済社会の関係について問題意識を持ち考察を深めることを目標とする。
到達目標 グローバル化と情報化を支える産業やビジネスへの理解を深めると同時に、情報社会の特徴と諸問題について取り上げる。情報社会と情報通信の動向を学ぶことを通じて、「情報通信革命」と呼ばれている社会変化の本質を理解するように努めたい。テクノロジーと社会との相互作用を常に意識しながら、そこから生じる諸問題についても理解を深めることを目的とする。
教科書と準備するもの なし。必要に応じてプリントを配布する。
参考書 ・エリック・ブリニョルフソン『ザ・セカンド・マシン・エイジ』日経BP社、2015年
・ジェレミー・レフキン『限界費用ゼロ社会ー<モノのインターネット>と共有型経済の台頭』NHK出版、2015年
・ティム・ブラウン『デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方』早川書房、2010年
・情報通信白書(各年版)総務省
http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/cover/index.htm
・砂田薫「情報革命がもたらすパラダイムシフト」
http://www.yhmf.jp/pdf/activity/adstudies/vol_49_01_02.pdf
砂田薫「日本のソフトウェア産業の変遷―企業・政府・市場」
http://www.glocom.ac.jp/j/chijo/text/2007/11/kaoru_sunada.html
・トーマス・フリードマン著・伏見威蕃訳『フラット化する世界』日本経済新聞社、2006年
評価の基準 期末試験:100%

具体的評価方法 ■期末試験
授業の理解度を見る試験を実施する。
関連リンク 砂田薫「日本のソフトウェア産業の変遷―企業・政府・市場」,情報通信白書,砂田薫「情報革命がもたらすパラダイムシフト」
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特記

授業計画
第1回 内容
■オリエンテーション
「情報社会とはどういう社会なのか」「情報社会における情報通信の役割は何か」をテーマに入門的な解説を行った後、国際情報論で学ぶ範囲、到達目標、授業の進め方、成績評価の方法について説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) なし
授業実施特記
第2回 内容
■情報通信とグローバル経済社会
現在のグローバルな情報化の動向を整理し、それが情報社会の歴史的文脈の中でどのように位置づけられるかについて解説する。トーマス・フリードマン著・伏見威蕃訳『フラット化する世界』(日本経済新聞社、2006年)の議論を参照しつつ、また近年の反グローバリズム主義の台頭を分析しつつ、グローバリゼーションと情報化の関係について考察する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習
授業実施特記
第3回 内容
■情報技術パラダイムの転換
イノベーションの経済学の理論に基づいて、ICT産業の歴史を「GPT」(General Purpose Technology:経済・社会に変化をもたらす汎用的技術)および「情報技術パラダイムの転換」という視点から整理する。また、「モジュール化」「オープン化」「コモディティ化」をキーワードに、ITの技術開発の変遷と日本のテクノロジーの特徴について理解を深めたい。
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習
授業実施特記
第4回 内容
■モジュール化とオープンイノベーション
IT産業の歴史は「モジュール化」「オープン化」「コモディティ化」の進展として把握することができる。とくにモジュール化については近年、経済学の分野で研究が進み、製品アーキテクチャだけでなく産業構造を分析するうえでも重要な概念となっている。産業のモジュール化の意味を解説すると同時に、モジュール化を促したオープン・イノベーションについて解説する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習
授業実施特記
第5回 内容
■ソフトウェア・ITサービスの現状と課題
ソフトウェア産業、ITサービス産業の歴史と現状について解説する。グローバルな動向と、日本独自の産業構造や技術の特性について学ぶ。また、情報システムの開発・運用を外注するアウトソーシング、海外へプログラム開発を委託するオフショアリング、オープンソース、についても近年の動向に触れる。
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習
授業実施特記
第6回 内容
■情報通信産業の歴史と現状
国の独占事業として始まった電気通信の歴史を「通信の自由化(規制緩和)」「モジュール化」をキーワードに解説する。日本電信電話公社の民営化(NTT設立)とNTTの組織分割、通信のデジタル化、ワイヤレス、モバイルなど近年の新しい通信ビジネスの動向について整理し、現在の日本の通信産業が抱えている課題を国際的視点から説明する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習
授業実施特記
第7回 内容
■インターネット・エコノミー
インターネットの歴史を概観したうえで、その商用化が進んだ1990年代半ば以降に誕生した電子商取引をはじめとするネットビジネスについて解説する。「ロングテール」「べき法則」といったネットワーク特性を近年のネットワーク理論に基づいて学びつつ、ネットとビジネスの関係について考察する。「フリーミアム」「ネットコミュニティ」など、ウェブ上での動向が情報通信産業や社会にどのようなインパクトをもたらすのかについても考察を深めたい。
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習
授業実施特記
第8回 内容
■マスメディアとコンテンツビジネス
インターネットは既存のマスメディアやメディア産業に激変をもたらした。そのインパクト、とくにメリットとデメリットについて分析する。ウェブサイトのニュース記事が充実するにつれて、日本や米国では新聞の発行部数が減少を続けている。また、広告もラジオや雑誌からインターネットへと移行している。現在メディアの分野で進行している変化の本質を考察する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習
授業実施特記
第9回 内容
■ジャーナリズムとメディアリテラシー
ネット上には「フェイクニュース」があふれている。SNSを通じて、悪意を持たない人々が偽情報を拡散するため、もやは情報の真偽を判断することは非常に難しくなっている。このような時代にますます重要となるのは「ジャーナリズム」と「メディアリテラシー」である。本授業ではその2つのキーワードの意味を理解し、インターネットでのジャーナリズムやソーシャルメディアの可能性について考察する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習
授業実施特記
第10回 内容
■IoT・ビッグデータ・AI
情報通信技術と他分野の技術との融合が進んでいる。それに伴い、インターネットは、人と人とのコミュニケーションだけではなく、人とモノ、モノとモノとのコミュニケーションにも利用されるようになり、IoT(Internet of Things)の時代へと移りつつある。また、大規模なデータ処理・分析が可能になり、ビッグデータ関連の新ビジネスが生まれつつある。膨大なデータ処理が可能になったことで第3次AI(人工知能)ブームが起こっている。このような最新テクノロジーの動向を理解し、それが社会や産業にもたらす影響を考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習
授業実施特記
第11回 内容
■第四次産業革命
情報通信技術の進歩によって、製造業、農業、金融業、その他サービス業の全般でデジタルイノベーションが進行している。その具体的な応用事例について学び、ビジネスにもたらす影響を分析する。また、自動運転車に代表されるように、人間の仕事を機械が置き換えるケースが増加していくと考えられるので、人間と機械との協調や役割分担について考える。
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習
授業実施特記
第12回 内容
■オープンデータ・オープンガバメント
地方自治体をはじめとして行政が保有するデータを広く公開することで、新しいアプリやサービスの開発を促したり、行政の透明性を高めたりという動きが活発になっている。オープンデータ、オープンガバメントの定義と現状について解説する。


授業時間外における学修(予習・復習等) 復習
授業実施特記
第13回 内容
■デザイン思考とイノベーション
情報ビジネスにおいては、競合他社の製品よりも高性能・高機能・低価格をめざす競争から脱皮し、これまでにない新しい消費者のニーズを開拓する商品開発が重視されるようになっている。新たな価値を生み出すイノベーションを起こすために、近年欧米だけでなく日本企業でも重視されるようになったのが「デザイン思考」である。デザイン思考とは何かについて、基本的な考え方を学ぶ。
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習
授業実施特記
第14回 内容
■人間のための情報テクノロジー
デザイン思考の根本には「人間中心」の考え方がある。すでに自動運転の車が開発され、人工知能が人の仕事を補助したり、場合によっては代替する時代に入っている。人とテクノロジーの共存は現在の重要な課題である。その点についての議論を深めたい。
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習
授業実施特記
第15回 内容
■まとめ
情報通信産業で起こっている変化についてまとめると同時に、ICTの変化が経済社会にどのようなインパクトを与えているか、また経済社会の動向がICTの技術開発にどのように作用しているかについて議論を整理する。20世紀型工業社会と21世紀型情報社会の違いを理解する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習
授業実施特記