最終更新日:2017/02/15
Syllabus
クリックして表示・非表示切り替え
概要
対象年度 年度 2017 開講時限
開講学部・学科等 政経
科目コード 632041000 科目ナンバー
授業名 経済開発論(諸問題)
英文授業名 Theory of Economic Development (Various Subjects)
担当教員 高橋 誠

授業形態 講義
e-learning利用 その他:
担当形態 単独
関連する授業
当科目履修前に履修して
おくことが望ましい科目
後続関連授業
教職課程科目
テーマ・キーワード 文化大革命 開発独裁 沿海部 西部大開発 経済特区 WTO加盟 国内経済格差 不均等発展 「開発区という土地の囲い込み運動」 

授業の概要・ねらい 中国国務院は文化大革命の大動乱による中国社会の崩壊の危機にあたり、1980年に起死回生の一手として経済特別区を創設し、外資導入による輸出志向型工業化戦略に舵を切った。中国の経済開発は経済特区による対外開放から始まった。典型的な開発独裁型経済開発モデルであるが、その後、中国は2001年には自由貿易体制を至高とする世界貿易機構(WTO)に加盟し、グローバル資本主義のリーディングセクターとして世界経済に大きな影響力を行使しつつある。中国は経済開発の過程において経済成長と同時に、さまざまな問題を投げ掛けてきた。国際資本と連携した沿海部の成長は、内陸部や少数民族地域の労働力、資源、「ソーシャル・キャピタル」の収奪によって支えられてきた。急速な高度経済成長のメカニズムの形成と不均等発展は経済開発過程において表裏の関係にある。中国型経済開発モデルに内在する諸問題、すなわち国内地域間格差、都市部・対・農村部(農民工・戸籍制度)問題、少数民族地域の資源・領有問題、PM2.5汚染等の深刻な環境問題、「開発区という土地の囲い込み運動」(現代型労働力原蓄)等の矛盾を抱えながら、どのようにそれを克服してグローバル資本主義経済において市民社会中国を経済開発していくのかを検討することになる。開発途上エリアのみならず、欧米日はそこにこそ注目しているのである。
到達目標 中華人民共和国の経済開発は開発独裁型モデルの典型であり、グローバル資本主義の一角である沿海部の異様な高度経済成長は国内周辺・半周辺を接合し、収奪した結果であるので、中国国内のアーティキュレーション三層構造の歴史的、構造的意味と台湾省の経済開発の経緯・現状と諸課題を説明できることが目標となる。
教科書と準備するもの 周牧之『中国経済論』日本経済評論社、2008年
参考書 高橋誠『世界資本主義システムの歴史理論』世界書院、1998年
園田哲男『戦後台湾経済の実証的研究』白桃書房、2003年
大坪滋・木村宏恒・伊東早苗編『国際開発学入門』勁草書房、2009年
南亮進・牧野文夫編『中国経済入門<第3版> 世界第二位の経済大国の前途』日本評論社、2012年
進藤榮一『アジア力の世紀 どう生き抜くのか』岩波書店(新書1432)、2013年
評価の基準 中華人民共和国の経済開発史を段階論的に理解し、いわゆる「一国二制度」が実は「生産様式のアーティキュレーション構造」から生じるということを理解しているか否かを基準にして評価する。
具体的評価方法 授業貢献度を重視し、期末試験の実施により総合的に評価する。期間中に1回、主題に関する新聞記事を読み、小論文を提出して戴く。可能であれば、それにもとづいて、討論会を行いたい。講義の出席者のみに資料・重要事項を示したプリント教材を配布する。なお、3分の2以上の出席を評価の前提条件とすることは言うまでもない。後期定期試験(80%)・小論文(20%)の実施により、総合的に成績を評価する。
授業評価アンケート
フィードバック・
受講生へメッセージ
担当科目の評価は、木曜日の2限がすべての項目で全体平均とほぼ同程度であるのに比べて、金曜日の3限は高い評価を受けている。3限の履修者が中国社会の複雑な歴史構造的重層性に気が付いているからと思われる。
単位互換
特記

授業計画
第1回 内容
ガイダンス
講義計画と講義内容の説明
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習:講義の計画と内容を再度熟読すること
授業実施特記
第2回 内容
中国経済開発論の基礎1:中国における経済開発とは何か?
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:中華人民共和国の戦後史を概観しておくこと
授業実施特記
第3回 内容
中国経済開発論の基礎2:中国における経済開発の独自性

授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:中国における経済開発の独自性について検討しておくこと
復習:配布されたレジュメを再読すること
授業実施特記
第4回 内容
中国経済開発史1:改革開放以前の中国の経済開発への志向性と状況
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:「文化大革命」について調べておくこと
復習:歴史過程における「自由」の意味を再度、熟考すること
授業実施特記
第5回 内容
中国経済開発史2:中国の改革開放以後の外資導入型経済開発
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:中国における輸出志向型工業化戦略の導入について熟考しておくこと
授業実施特記
第6回 内容
中国経済開発史3:世界貿易機構(WTO)加盟以後の経済開発戦略
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:世界資本主義システムに参入した中国のWTO加盟問題について検討しておくこと
授業実施特記
第7回 内容
中国経済開発史4:世界資本主義システムのリーディングセクターとしての混沌
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:
授業実施特記
第8回 内容
中国経済開発区の実証分析1:珠江デルタ地域の経済開発
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:あらかじめ配布した珠江デルタ地域の経済開発に関するレジュメを読んでおくこと
授業実施特記
第9回 内容
中国経済開発の実証分析2:長江デルタ地域の経済開発(国家上海生物医薬科技産業基地等) 
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:「国家上海生物医薬科技産業基地」に関するレジュメの検討
授業実施特記
第10回 内容
中国経済開発の実証分析3:京津冀メガロポリスの環渤海への経済開発の進展
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:あらかじめ配布した京津冀地域の経済開発に関するレジュメを読んでおくこと
授業実施特記
第11回 内容
中国における経済開発の諸問題1:外資(海外直接投資)・技術導入型経済開発の諸問題
①国有企業と非国有企業の対抗
②フルセット型からグローバルサプライチェーン型産業集積への展開
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:グローバルサプライチェーン型産業集積への展開に関するレジュメの検討
授業実施特記
第12回 内容
中国における経済開発の諸問題2:現代型本原的蓄積(現代原蓄)構造の分析
①「都市・対・農村」の構造的問題
②沿海部内における経済格差問題
③国内経済格差・資源・領有問題(沿海部と内陸部・東北三省・少数民族地域との経済格差と不均等発展)
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:現代中国の抱える諸問題をあらかじめ確認しておくこと
復習:「現代型本原的蓄積構造の分析」に関するレジュメを熟考すること
授業実施特記
第13回 内容
中国における経済開発の諸問題3:台湾省の経済開発の特徴と中台対立・共生および両岸問題
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:現代史における「台湾省問題」のアポリアについて考察しておくこと
授業実施特記
第14回 内容
討論会:中国における経済開発の諸問題4:グローバル経済における中国経済の行方
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:グローバル資本主義における中国経済の行方について考察しておくこと
授業実施特記 統一テーマに関する討論会
第15回 内容
主要論点の検討
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:討論会におけるさまざまな見解を再考し、各自、比較考量すること
復習:討論会の成果を各自確認すること
授業実施特記