授業の概要・ねらい |
社会の急激な変化が、学校教育における健康教育(心と体の教育)への期待をますます大きくしている。その中心的な役割を担うのが「養護教諭」である。養護教諭をめざすひとりひとりが、「養護活動」の土台となる理論と方法を深く理解するとともに、養護教諭の専門性を高めるための基礎の学びの第一歩としたい。
また、「特殊教育」から「特別支援教育」への歩みのなかで、養護教諭の果たす役割への期待はますます大きくなっている。そのためにも特別支援教育の仕組みについても学び理解したい。 |
到達目標 |
学校教育における、養護教諭の具体的な働きについて理解し説明できる。
児童・生徒を取り巻く健康問題とその歴史について理解し、その対策について説明できる。
発育・発達の著しい児童・生徒においては特有の健康問題・健康課題に直面する。そのための具体的対策について説明出来る。 |
教科書と準備するもの |
養護概説(ぎょうせい・¥2,875.-)
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参考書 |
新養護概説(少年写真新聞社・¥2,400.-)
保健室と養護教諭(国土社・¥2,000.-)
養護学概論(東山書房)
養護教諭のための看護学(大修館書店)
これからの養護教諭(大修館書店)
教育小六法(学陽書房) |
評価の基準 |
学校教育における養護教諭の役割の歴史、職務の変化について充分理解している。また、児童生徒の健康状態について把握し、客観的に評価出来る。
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具体的評価方法 |
各時間での課題レポートと小テスト、定期試験としてのレポート提出を求め、それぞれ50%よる評価とする。 |
関連リンク |
文部科学省,厚生労働省,日本養護教諭教育学会,日本教育保健学会,日本学校保健学会 |
第1回 |
内容
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ガイダンス: 講義の進め方、教科書、毎時の課題レポート、配布資料およびノート、評価のしかた等ついて説明する。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
学校保健安全の要である学校保健安全法、施行令など関連法規について学修する。 学校保健に関わる法律をリストアップし、その趣旨をまとめること。 |
授業実施特記 |
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第2回 |
内容
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学校保健安全と法律: 「学校保健」の根拠である法律、施行令について学ぶとともに、学校保健の仕組みについて学ぶ。
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
憲法第25条、世界人権宣言等の趣旨について学修する。 健康の概念・健康の基準となった世界保健憲章前文について学修する。 全文を英訳しておくこと。
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授業実施特記 |
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第3回 |
内容
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健康の概念(1):健康の概念とその重要性について、世界人権宣言・世界保健憲章・日本国憲法から考える。 とくに、世界保健憲章前文において示されている健康の定義の現代的な意味とその限界について学ぶ。
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
戦後から現代にいたる疾病傾向の変化と対策について感染症だけでなく、食生活や生活習慣に起因する疾病についてもあらかじめ学修する。 |
授業実施特記 |
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第4回 |
内容
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健康の概念(2):健康と疾病・戦後の疾病傾向 戦後の疾病傾向さらに現代の疾病傾向の変化と社会の取り組みについて学習する。 同時に、望ましい食生活の観点から「食育」と学校給食の歴史とその役割について学ぶ。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
ヘルスプロモーションの概念と歴史について学修する。 生きる力とは何か。また健康日本21などの社会的施策等事前に学修すること。
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授業実施特記 |
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第5回 |
内容
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健康の概念(3):「生きる力」とヘルスプロモーション これからの「学校健康教育」のありかたについて。これからの「健康観」についてヘルスプロモーションとの関係を学ぶ。
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
児童・生徒の発育・発達にともなっておきる問題とその対策について学修する。 |
授業実施特記 |
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第6回 |
内容
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健康の概念(4):児童生徒の発育・発達と健康課題 スキャモンの発育曲線、マズローにおける欲求構造と発達をもとに児童・生徒の発育・発達について理解するとともに発育・発達にともなっておこりやすい健康問題・健康課題について理解する。
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
障碍(しょうがい)とは何か? 特別支援教育の歴史と実際について学修する。 |
授業実施特記 |
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第7回 |
内容
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障碍について深く理解するとともに特別支援教育の歴史と実際、特別支援学校における養護教諭の職務について学ぶ。 障碍を成立させる要素を提示し理解する。
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
(独)国立特別支援教育総合研究所のwebページ、(社福)日本肢体不自由児協会webページなどを参考に「障碍」について理解を進めること。 |
授業実施特記 |
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第8回 |
内容
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養護教諭に必要な能力(1) 養護教諭に求められる専門性や、保健室の果たす役割の重要性について学ぶ。 社会的な要請とともに変化した養護教諭の役割について理解する。
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
学校保健安全法に定める保健室の機能とそのあり方について、学修する。 養護教諭の職務について、これまでに学んだ内容を整理すること。 教科書(29P~43P)を参考に、養護教諭に必要な能力について理解を進めること。
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授業実施特記 |
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第9回 |
内容
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養護教諭に必要な能力(2) 看護と養護の違いについて学ぶとともに情報/教育/企画/連携・調整/研究をキーワードに養護教諭の果たす役割、保健室経営の概略について学ぶ。
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
健康診断のねらいと実施項目について学修する。 |
授業実施特記 |
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第10回 |
内容
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養護教諭の職務と健康診断 「健康診断」のねらいとその具体的な内容について学ぶ。 定期的に実施される健康診断だけでなく臨時的に実施される健康診断や就学時の健康診断についても学ぶ。また、学校医との連携についても学ぶ。
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
健康観察や健康相談とは何かを学修する。 |
授業実施特記 |
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第11回 |
内容
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養護教諭の職務と学校保健計画 保健目標と学校保健計画:保健目標とその実現を図る学校保健計画の具体的なあり方について学ぶ。養護教諭の役割である、健康観察の要旨・健康相談活動の実際・保健学習の目標とその方法について学ぶ。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
健康相談と健康相談活動について学修する。 カウンセリングとは何か。そのための能力とは何か。事前に学習すること。
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授業実施特記 |
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第12回 |
内容
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養護教諭の職務と健康相談活動 健康相談活動の具体的な内容と、そのあり方と意義について学ぶ。 児童生徒の身体の問題に心の健康が深く関わっている。その兆候にいち早く気づく養護教諭の健康相談活動/カウンセリング能力が重要である。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
伝染病予防法から感染症予防法への変更の趣旨について学修学習する。 またHIV・AIDS、性感染症についても学修する。
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授業実施特記 |
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第13回 |
内容
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性感染症へ取組: 学校における性感染症の予防の指導の実際を学ぶ。同時にこれからの性教育のあり方についても学ぶ。
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
性的少数者とは具体的に何を指すか学修する。 性同一性障がいへの配慮について、文部科学省のサイトから資料を収集すること。
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授業実施特記 |
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第14回 |
内容
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性的少数者への配慮について: 性的マイノリティーへの配慮と養護教諭のかかわりについて学ぶ。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
心の健康。いじめについて。児童・生徒の自殺について学修する。 加齢に伴う死生観の変化について学修する。 |
授業実施特記 |
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第15回 |
内容
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いじめの実態。児童・生徒の自殺の現状など、問題行動への取り組みについて考える。 事件・事故の起きた際の危機管理体制について学ぶ。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
文部科学省、東京都教育委員会等による「いじめの定義」「いじめの予防対策」についての取り組みについて資料収集をすること。同時に、「生命尊重」「いのちの学習」についても理解を深めること。
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授業実施特記 |
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