最終更新日:2017/01/28
Syllabus
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概要
対象年度 年度 2017 (週1コマ)秋期 開講時限 火3
開講学部・学科等 アジア
科目コード 610023900 科目ナンバー ASR02553
授業名 自然環境と文化遺産
英文授業名 Natural Environment and Cultural Heritage
担当教員 辻村 純代

授業形態 講義
e-learning利用 その他:
担当形態 単独
関連する授業
当科目履修前に履修して
おくことが望ましい科目
西アジア古代技術史
後続関連授業
教職課程科目
テーマ・キーワード 文化的景観・自然環境・文明の盛衰

授業の概要・ねらい 文化遺産の多くは、遺跡と自然環境とが一体となって文化的景観を形成している。授業では古代文明発祥の地域を取り上げ、自然環境が文明の形成と衰退にどのように関わったのかを地域別に考察する。近年、特に関心が高まっている自然災害もまた、文明の盛衰に大きく関与している可能性があり、それらについての科学的な知識を得ることが肝要である。加えて、技術・宗教・交易といった人間の活動も自然や資源と無関係ではなく、これらを総合的にとらえることにより、個々の遺跡だけでなく、文明を育んだ文化的景観を人類共通の遺産として未来に残すことの重要性を伝えたい。
到達目標 森林、草原、河畔、砂漠といった様々な自然環境のなかで、人類がどのように適応し文明を築いてきたのか、また、気候変動や地震等の自然災害による自然環境の変化が文明にどのような影響を与えたのかを具体的に知ることを通じて、その豊かな人類の文化遺産を継承し、未来に残していくことの重要性を理解する。
教科書と準備するもの 教科書は使用しない。授業に必要な資料は授業時に配布する。
参考書 安田喜憲・川西宏幸(編)「古代文明と環境」(梅原猛・伊東俊太郎(監修)文明と環境I, 1994)、石 弘之「地球環境報告」(岩波新書、1988) など。 
授業時に講義内容に関連する参考書籍や文献を提示する。
評価の基準 それぞれの文明の特質と自然環境との関係を説明することができる。また、気候変動や森林破壊など、文明崩壊をもたらした諸要因について考古学や科学的なデータを基に理解し、具体的事例を説明することができる。
具体的評価方法 学期末に行う論述式試験の点数(40%)、授業の最後に提出してもらうリアクションペーパーの内容(60%)を合算して評価する。
授業評価アンケート
フィードバック・
受講生へメッセージ
映像資料などを利用して、歴史的知識に乏しい学生にとってもわかりやすい授業を心掛けたい。
単位互換
特記

授業計画
第1回 内容
自然環境と文化遺産についての概念を解説し、この授業の主旨を伝える。
授業時間外における学修(予習・復習等) 世界文化遺産にどのようなものが登録されているか、調べる。
授業実施特記 講義形式
第2回 内容
古代史の枠組みと文明の発生(1):農耕・牧畜について、それが最初に開始された西アジアの自然条件を明らかにし、発展のプロセスを具体的に辿る。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)西アジアの自然環境に関する資料を配布するので目を通しておく。
(復習)農耕の始まりと分布の拡大について、まとめる。
授業実施特記 講義形式
第3回 内容
古代史の枠組みと文明の発生(2):2回に亘って古代王朝文明が栄えた地域の自然環境を比較し、その違いがどのように文明の性格に反映したのかを探る。<エジプトとメソポタミア>
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)エジプトとメソポタミアの資料を配布するので年代観など基本的な知識を頭に入れておく。
(復習)2つの国家体制や灌漑方法の違いをまとめる。
授業実施特記 ビデオを見る。
第4回 内容
古代史の枠組みと文明の発生(3):同上。<インダスと中国>
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)インダスと中国に関する資料を配布するので両者の年代観など基本的な知識を頭に入れておく。
(復習)2つの文明と都市について、その違いをまとめる。
授業実施特記 ビデオを見る。
第5回 内容
エジプト王朝文明の盛衰と気候変動:世界レベルで起こった気候変動がナイルの水位に変化をもたらすメカニズムを解説し、それが王朝の盛衰と連動しているか、どうかを検証する。
授業時間外における学修(予習・復習等) 関連する書籍を紹介、資料配布。
授業実施特記 講義形式
第6回 内容
文明と資源(1):金属・ガラス製品の原材料となる鉱物資源の分布を基に、物質文化の特徴を考察する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)西アジアの鉱物資源に関する資料を配布するので目を通しておく。
    西アジアの地理について調べる。
(復習)青銅器と鉄器、鉛ガラスと吹きガラスの違いをまとめる。
授業実施特記 講義形式
第7回 内容
文明と資源(2)海上交易国家フェニキアとギリシア自然環境を説明し、2つの文明の文化的、経済的役割を明らかにする。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)フェニキアとギリシアに関する資料を配布するので目を通しておく。
    地中海世界の地理を調べる。
(復習)森林(木材)の経済的価値について、まとめる。
授業実施特記 講義形式
第8回 内容
砂漠の交易:アラビア半島にみる多様な自然を紹介し、香料を産出する南アラビアと地中海世界とを結んだ交易の民が作った砂漠のネットワークについて述べる。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)関連する資料を配布するので目を通しておく。
(復習)遊牧民と交易について、まとめる。
授業実施特記 講義形式
第9回 内容
シルクロード;東西交易に果たした中央アジアの自然環境と文化遺産を紹介する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)中央アジアの地理について調べる。
(復習)「草原の道」と「オアシスの道」の違いを明確にする。
授業実施特記 講義形式
第10回 内容
インド洋の交易;<ローマからイスラームヘ>遠距離交易の歴史を辿る。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)海洋交易に関する書籍を紹介する。
(復習)「海のシルクロード」について、歴史的展開をまとめる。
授業実施特記 講義形式
第11回 内容
東南アジアの自然環境と文化遺産:カンボジア・アンコール遺跡の構造と、その歴史について概説する。特に土壌の特徴と都市構造の関係に注目する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)東南アジアの地理を調べる。関連する書籍を紹介するので目を通しておく。
(復習)カンボジアやタイの土壌について、その特徴をまとめる。
授業実施特記 講義形式
第12回 内容
古代都市のインフラ:都市機能の一つとして給水システムを取り上げ、ローマの水道橋に込められた水の思想や乾燥地における水利システムの多様性について講義する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)地中海の地図を頭に入れておく。
(復習)江戸と京都の給水システムを調べてみよう。
授業実施特記 講義形式
第13回 内容
古代都市と災害(1):火山噴火
サントリーニ火山とアクリティリ遺跡、ベスビオ火山とポンペイ遺跡を取り上げ、その被害状況を解説する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)地中海の地図を頭にいれておくこと。
(復習)火山噴火のメカニズムと災害の実態、また噴火によって残されたものについてまとめる。
授業実施特記 講義形式
第14回 内容
古代都市と災害(2):洪水と土砂災害
各地に残る洪水伝説を紹介する。エジプト・アコリス遺跡をはじめ、古代都市にみる被害状況を解説する。
授業時間外における学修(予習・復習等) (予習)洪水伝説を探そう。
(復習)洪水や土砂災害のメカニズムを理解し、自然環境によって古代都市に与えた被害がどのように異なっているのをまとめる。
授業実施特記 講義形式
第15回 内容
世界遺産の理念と制度を説明し、文化財保存についての理解を深める。
授業時間外における学修(予習・復習等) レポート提出
授業実施特記 講義形式