最終更新日:2017/02/21
Syllabus
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概要
対象年度 年度 2017 (週1コマ)春期 開講時限 金4
開講学部・学科等 法・政経・理工・文・経営
科目コード 120100500 科目ナンバー
授業名 経済学A
英文授業名 Economics A
担当教員 高橋 誠

授業形態 講義
e-learning利用 その他:
担当形態 単独
関連する授業
当科目履修前に履修して
おくことが望ましい科目
後続関連授業
教職課程科目 教科に関する科目
テーマ・キーワード 新自由主義 テイラーシステム フォードシステム 規制緩和 制度補完性 FDI 経済特区「第4次産業革命」 AI(人工知能) ベーシックインカム 

授業の概要・ねらい 資本のグローバル化は一般的な傾向である。圧倒的な力を持ってわれわれの生活の隅々にまで拡大し、深化している。様々なレベルにおける資本に対する調整作用が不十分なために、不毛なグローバリズム・対・反グローバリズムの対立構図が際立っている。ジャック・アタリが予見したように、世界システムは新たな段階に突入しつつある。工場の生産装置・物流現場をインターネットで連環し、人工知能AIが自己管理する「第4次産業革命」が将来する前夜である。世界レベルの市民社会の調整が必須である。本論では資本主義の制度的基礎とグローバル化による現代資本主義の変容(労働雇用システムの変容・企業統治の変化・グローバル化によるセーフティーネットの再編・環境問題と「経済成長の限界」)を扱う。特論では、本論で示されたグローバル資本主義の問題群が集約して現れる経済特区において多国籍企業による海外直接投資の行動を分析する。国家戦略特区の性格についても言及したい。最終回の事例研究では、再生医療(iPS細胞等)に関連して神戸医療産業都市の問題点を検討する。
到達目標 資本主義の制度的基礎とグローバル化による現代資本主義の変容を理解し、経済格差問題の根源である世界資本主義システムのアーティキュレーション構造を理解し、説明できることが目標となる。
教科書と準備するもの 使用しない(毎回、レジュメを配布)。ただし、高橋誠『世界資本主義システムの歴史理論』世界書院、1998年を参考図書に指定する。
参考書 高橋誠『世界資本主義システムの歴史理論』世界書院、1998年。
若森章孝他『入門・政治経済学』ミネルヴァ書房、2007年
周牧之『中国経済論』日本経済評論社、2008年
若森章孝他『入門・政治経済学』ミネルヴァ書房、2007年
ジャック・アタリ著、林昌宏訳『21世紀の歴史 未来の人類から見た世界』作品社、2009年
水野和夫『世界経済の大潮流:経済学の常識をくつがえす資本主義の大転換』太田出版、2012年
水野和夫・大澤真幸『資本主義という謎 「成長なき時代」をどう生きるか』NHK出版(新書400)、2013年
高橋誠「神戸医療産業都市と市民社会」、内藤光博編『東アジアにおける市民社会の形成 人権・平和・共生』専修大学出版局、2013年、所収
高草木光一編『思想としての「医学概論」 今「いのち」とどう向き合うか』岩波書店、2013年
日経ビジネス編『日本経済入門』日経BP社、2014年
評価の基準 資本主義の制度的基礎とグローバル化による現代資本主義の変容、すなわち労働雇用システムの変容、企業統治の変化、グローバル化によるセーフティーネットの再編、環境問題と「経済成長の限界」を理解しているか否かを基準にして評価する。
具体的評価方法 授業貢献度を重視し、期末試験の実施等により、総合的に成績を評価する。なお、期間中に1回、主題に関する新聞記事を読み、小論文を提出して戴く。可能であれば、それにもとづいて、討論会を行いたい。講義の出席者のみに資料・重要事項を示したプリント教材を配布する。なお、3分の2以上の出席を評価の前提条件とすることは言うまでもない。前期定期試験(80%)と小論文(20%)の実施により、総合的に成績を評価する。
授業評価アンケート
フィードバック・
受講生へメッセージ
担当科目の評価が全体平均の値をすべての項目で下回っていることは申し訳なく、今後、改善に努めたい。
単位互換
特記

授業計画
第1回 内容
講義計画と講義内容の説明
本論:グローバル資本主義の基礎理論
①資本主義の段階論(国家と経済)
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習:講義の計画と内容を再度熟読すること
授業実施特記
第2回 内容
②新自由主義の限界と超克シナリオ
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:新自由主義について考察しておくこと
授業実施特記
第3回 内容
③生産システムの分析
テイラーシステム・フォードシステム・トヨタシステム
<補足> 製品・部品とAI装置が連係して仕事を達成する「思考する工場」
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:トヨタシステムについて考察しておくこと
授業実施特記
第4回 内容
④生産システムの変容
情報通信技術の革新による製造過程と労働形態の変化:ドイツの「インダストリー4.0」
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:インターネットとAI の製造業への導入による労働形態の変容について考えておくこと
授業実施特記
第5回 内容
⑤グローバル化における重層的接合構造と制度補完性
<補足> グローバル化とグローバリズム
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習:レジュメを再読し、経済学における制度補完性の重要性を認識すること
授業実施特記
第6回 内容
⑥労働の規制緩和と調整政策
<資料> アベノミクスとフレキシキュリティモデル
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:労働の規制緩和について考察しておくこと
授業実施特記
第7回 内容
⑦雇用システムの変容
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:あらかじめ配布したレジュメを熟読しておくこと
授業実施特記
第8回 内容
⑧コーポレート・ガバナンス(企業統治)の進化
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:あらかじめ配布したレジュメを熟読しておくこと
授業実施特記
第9回 内容
⑨グローバル化とセーフティーネット再編の対抗
<資料> 「ベーシックインカム」(スイス)導入の是非
授業時間外における学修(予習・復習等) 復習:レジュメを再読すること
授業実施特記
第10回 内容
⑩環境問題と「経済成長の限界」
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:環境問題と経済成長について自分の考えをまとめておくこと
授業実施特記
第11回 内容
特論:世界資本主義システムの歴史構造分析
①多国籍企業と経済特区・輸出加工区・構造改革特区・復興特区・国家戦略特区
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:国家戦略特区について調べておくこと
授業実施特記
第12回 内容
②海外直接投資型経済特区の現状
予習:海外直接投資の概念について調べておくこと
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:海外直接投資の概念について調べておくこと
授業実施特記
第13回 内容
③事例研究:神戸医療産業都市(バイオ医療産業のグローバル拠点化と市民社会問題)
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:あらかじめ配布した「神戸医療産業都市」のレジュメを熟読しておくこと
授業実施特記
第14回 内容
討論会:「神戸医療産業都市」とアベノミクスにおける国家戦略特区の特質について討論
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習::「神戸医療産業都市」と国家戦略特区について考察しておくこと
授業実施特記 討論会
第15回 内容
主要論点の検討
授業時間外における学修(予習・復習等) 予習:討論会におけるさまざまな見解を再考し、各自、比較考量すること
復習:討論会の成果を各自確認し、他に学ぶこと
授業実施特記