授業の概要・ねらい |
社会の中で日々に起こる事象を正しく把握し、さまざまな社会規範に沿いつつ、将来に繋げるのは容易ではありません。しかし、そのような中で法学は、正解のない私たちの社会で、人生を揺るぎなく確かなものに導くひとつの指針といえます。
この法学の講義は、社会規範の一つである法学・法の一般理論について、条文や法律概念・用語をめぐって、判例や事例の素材を通して「法のしくみや機能」を学びます。講義の進行は、まず社会における法の実益と効用、つぎに法の形成と歩み、そして、法の一般理論の全体像と個別的な原則に進め,まとめに,日本国憲法を法学から考えてみます。講義で取り上げた判例や事例は、あなたがこれから学ぶ法律学を学ぶ手がかりの一つと考えて下さい。
本講義のねらいは、社会における法生活を学び、その上で、他者感覚を持った判断と対応ができるリーガルマインドを養うことにあります。
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到達目標 |
講義を通じて、法の歴史、法の分類、法の効力、法の種類などから法学の概念を学び得たか、ケースにより、身近な法知識を理解できたか。 |
教科書と準備するもの |
髙野敏春共著『法学・憲法への招待』敬文堂,2016年。
(田上穣治著高野敏春補訂『原典 田上憲法学の基礎』プレーン、2005年)
(髙野敏春著『法学の入門以前』2010,適宜配布のプリント)
小六法
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参考書 |
伊藤正己・加藤一郎著『現代法学入門』有斐閣双書、2011年。
末川博編『法学入門』第5版補訂、有斐閣双書、2005年。
田中誠二著『新版 法学概説』千倉書房、平成8年。
21世紀研究会編『法律の世界地図』文春新書、2007年。
芦部信喜著高橋和之補訂『憲法』第5版、岩波書店。
小嶋和司著大石真補訂『憲法概説』有斐閣、2007年。
濱口桂一朗『若者と労働』中公新書ラクレ、2013年。
大久保幸夫『キャリアデザイン入門Ⅰ』日経文庫、2016年。
開講時に適宜にお知らせいたします。
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評価の基準 |
講義を通じて、法学の概念、解釈・適用能力の習得できたか。
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具体的評価方法 |
講義を通じて、定期試験等(50%)及びレポート(50%)により評価する。
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第1回 |
内容
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はじめ之部 法学学修の注意と実益 { 法学以前 } |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
法学とは、「どのような学問か」について、まとめておきましょう。
プリント:法学学修の実益
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授業実施特記 |
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第2回 |
内容
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京都・介護尊属殺人事件、京都地裁2006年7月21日判決 不完全な人間の錯誤、誤解・誤用、
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
【 演習1】用語:社会、我(家庭)、生病老死、他との共生と大人の法学、 |
授業実施特記 |
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第3回 |
内容
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第2講 大学という社会と実社会を考える プリント;学部4年間と自分 *行事、学年制と単位制、講義ノート作成と能力の育成:自分の中の歴史を読む
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
【演習2】用語:年間行事、大学生活の自由な選択が得意を伸ばし、不得意を克服、 実社会は取引、大学の学修と教育、
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授業実施特記 |
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第4回 |
内容
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第3講 法学という学問の全体像と人生 プリント:学問とは何か、 *裁判員制度とロースクール(これからの時代) :夢と志 「似て非なるもの」、プロと素人、
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
【演習3】用語:学問の作法から学ぶ(仁と徳の修養)、権利と義務、社会的差別、 |
授業実施特記 |
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第5回 |
内容
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第2部 法の起源とその発展(欧米法思想の源流){ 大学と高校の架け橋 } 第4講 ⅰ,法の発展と社会化 ⅱ.原始・古代の法律観 テキスト5~6頁 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
【演習4】用語:歴史と経験の重要性、experienceとexpertise、銀色の毛、 Holdとgroup、社会の形成と共生、トーテム、タブー、タリオ、
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授業実施特記 |
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第6回 |
内容
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第5講 ⅲ,ギリシャ・ヘレニズムの法律観 *ギリシャ都市国家とヒューマニズム哲学と法 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
【演習5】用語:隣保同盟、社会の秩序と公平はobligation・dutyから、愛知とソクラテス、プラトン、アリストテレス「社会ある所に法あり」、支配と統治、デモスとクラティア |
授業実施特記 |
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第7回 |
内容
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第6講 ⅳ,ローマ共和制末期の法律観(カトーの「祖父の遺風」と崩壊) *イマジン、信義誠実の原則の成立を素材に |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
【演習6】用語:共和制、12表法と千年の効力、信義則、権利濫用とシカーネ、 叙任権ヒエラルヒー、違法性判断規範の射程、
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授業実施特記 |
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第8回 |
内容
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第7講 ⅴ,中世の法律観 *「ヴェニスの商人」と大岡越前の守忠相の裁判を素材に、 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
【演習7】用語:体制封建社会、身分社会の意義と限界、ルネスサンスと宗教改革、 キリスト教の分裂、自然法、カノン法、抵抗権、市民革命、
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授業実施特記 |
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第9回 |
内容
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第8講 ⅵ,英米仏の市民革命と市民社会 *啓蒙期・KANT以降の法律観 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
【演習8】用語:Lock契約説、個人主義と利己主義、ドウーキン権利と人権の間、
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授業実施特記 |
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第10回 |
内容
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第9講 ⅶ,近代市民法の原理 テキスト5~7頁、72~76頁 *一般法としての民法典 *信玄公旗掛け松事件 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
【演習9】用語:個人の尊厳、信義誠実、公共の福祉、権利濫用の禁止、 意思と権利主体、私権(能力平等の原則、出生、行為能力)、
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授業実施特記 |
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第11回 |
内容
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第10講 ⅷ,日本近代法の概念 テキスト7~12頁、72~12頁 *民法典の全体像と修正,そして、改正 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
【演習10】用語:自力救済の禁止、経済社会における意思と行為能力、失踪宣告、 権利客体=物、法律行為、代理、時効、期間、法の社会化、
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授業実施特記 |
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第12回 |
内容
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第3部 法の本質と考え方 { 法の一般理論 } 第11講 自然の法則と人間社会における法規範とその他の社会規範
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
【 演習11】用語:法則と規範、人為的な社会規範(宗教・法・道徳・習俗・流行)、 権力的組織機構(国家)、
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授業実施特記 |
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第13回 |
内容
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第12回 内容 第12講 法規範と道徳規範 違法と不当・無効・有責、 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
【演習12】用語:条文の外的強制と内心の自主自律の道徳、
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授業実施特記 |
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第14回 |
内容
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第13講 法の構造 近代法の特質 *強制の主体と外からの刑罰、 *刑罰の種類(死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料) |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
【演習13】用語:権力的組織と公権力・法規、外からの強制、
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授業実施特記 |
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第15回 |
内容
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第14講 法と強制の方法 *民事と刑事の意味と違い(民744条1項)、刑罰を科す、 *利息制限法の改正と民法、
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
【演習14】用語:民事と刑事、時効、期間、損害賠償、代執行、 |
授業実施特記 |
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