授業の概要・ねらい |
かつて(1940年代〜70年代)アメリカには、合衆国連邦憲法修正第1条が「政治と宗教」の絶対的分離を命じているとする有力説があった。このことが今もって、アメリカの政教関係に多くの誤解と混乱を生じさせる原因となっている。そこで本講義では、厳格な分離説が生まれた背景と同説の問題点を、判例研究や歴史事象から明らかにして行くと共に、連邦最高裁における政教分離原則に関する解釈の変遷についても合せて論じることにする。 |
到達目標 |
学生自らが講義に積極的に参加し、質疑応答を通して問題点を把握し、論文・レポート等に反映されることを目指します。 |
教科書と準備するもの |
①佐藤圭一著『米国政教関係の諸相』(改訂版) 成文堂 2007年
②Michael Corbett and Julia Mitchell Corbett,Politics and Religion in the United States,Garland Publishing Inc.,1999. |
参考書 |
①Robert B. Fowler, Allen D. Hertzke,Religion and Politics in America-faith,Culture,and Strategic Choice-,Westview Press,2010.
②Donald L. Drakeman,Chuch, State,and Original Intent,Cambridge,2010. |
評価の基準 |
(1)アメリカにおける宗教の歴史を理解できる力
(2)修正憲法第1条の争点を理解できる力
(3)判例を読み解くことのできる力 |
具体的評価方法 |
講義中に実施する質疑応答30%。及び期末に求める「レポート」内容70% |
第1回 |
内容
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「ガイダンス」 講義の進め方、シラバスの使い方、成績評価について説明します。 アメリカという国家についてのアウトラインを説明します。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
本シラバスを参照し、不明な点等を整理しておいて下さい。第1回目の講義で説明します。 |
授業実施特記 |
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第2回 |
内容
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合衆国憲法修正第1条制定の目的と内容(その1) -憲法制定期(18世紀アメリカ)の風景-合衆国憲法修正第1条制定の目的と内容( |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
『米国政教関係の諸相』(改訂版)第1編の通読 |
授業実施特記 |
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第3回 |
内容
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合衆国憲法修正第1条制定の目的と内容(その2) -憲法起草者の意思、J・マディソンの宗教的自由観を中心に- |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
佐藤圭一「J・マディソンの宗教的自由観-宗教的自由と教派多元主義の関わりを中心として-」の通読 |
授業実施特記 |
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第4回 |
内容
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第1回討論
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授業時間外における学修(予習・復習等) |
第2回~第3回の講義での理解をベースとして討論を行います。 |
授業実施特記 |
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第5回 |
内容
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修正第1条「宗教条項」に関わる判例法理の展開(その1) -Everson判決の内容と時代背景- |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
佐藤圭一「アメリカにおける政教分離原則の史的展開-絶対分離主義の史的根拠への疑問-」の通読 |
授業実施特記 |
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第6回 |
内容
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修正第1条「宗教条項」に関する判例法理の展開(その2) -1950〜70年代「厳格分離」定着と国勢とのディレンマ- |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
佐藤圭一「『政教分離』を巡る司法判断の問題点ー『審査基準』の史的根拠への疑問ー」の通読 |
授業実施特記 |
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第7回 |
内容
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修正第1条「宗教条項」に関する判例法理の展開(その3) -80年代以降”保守派の復権”とアコモディションの内容- |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
佐藤圭一「アメリカ合衆国憲法『宗教条項』とアコモディショニズムの高揚」の通読 |
授業実施特記 |
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第8回 |
内容
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第2回討論 第5回~第7回の講義での理解をベースとして討論を行います。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
第5回~第7回の講義で指示した文献の再読 |
授業実施特記 |
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第9回 |
内容
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アメリカにおける宗教的多様性と国の「宗教的中立」についての論考(その1) -Everson判決を事例として- |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
佐藤圭一「アメリカ宗教の多様性と国の『宗教の中立』に関する連邦最高裁判断の問題点」の通読 |
授業実施特記 |
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第10回 |
内容
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アメリカにおける宗教的多様性と国の「宗教的中立」についての論考(その2) -Allegheny判決を事例として- |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
佐藤圭一「宗教的多様性と国の『宗教的中立』」の通読 |
授業実施特記 |
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第11回 |
内容
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アメリカにおける宗教的多様性と国の「宗教的中立」についての論考(その3) -Elk Grove判決を事例として- |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
佐藤圭一「アメリカ宗教の多様性と国の『宗教の中立』に関する連邦最高裁判断の問題点」の通読 |
授業実施特記 |
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第12回 |
内容
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第3回討論 第9回~第11回の講義での理解をベースとして討論を行います。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
第9回~第11回の講義で指示した文献の再読 |
授業実施特記 |
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第13回 |
内容
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国の宗教的慣行と政教分離原則を巡る連邦最高裁判断の変遷(その1) -Engel,Schempp判決を事例として- |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
佐藤圭一「『国教禁止条項』とアメリカの宗教慣行を巡る問題点」の通読 |
授業実施特記 |
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第14回 |
内容
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国の宗教的慣行と政教分離原則を巡る連邦最高裁判断の変遷(その2) -Elk Grove,McCreary,Van Orden判決を事例として- |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
佐藤圭一「アメリカにおける『国教禁止条項と”宗教的文言の公式表示”』の関係について」の通読 |
授業実施特記 |
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第15回 |
内容
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第4回討論と「まとめ」 第13回~第14回の講義での理解をベースとして討論を行い、全体を総括します。 |
授業時間外における学修(予習・復習等) |
これまで指示した文献等を通読し、疑問点を整理しておいて下さい。 |
授業実施特記 |
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